大震災が風化することを受け入れたい。
どのように、このテーマを伝えたら良いのか。
苦慮しましたが、思い切って書いてみます。
東日本大震災で住まいを失った方々に供与されていた
石巻市のプレハブ応急仮設住宅が震災から丸9年、この17日、
最後の入居者が退去し、その役割を終えた。(石巻日日新聞から)
プレハブ仮設は宮城県が整備し石巻市内では震災から1ヶ月後の
平成23年4月から入居が始まり、134団地に建設され9月末に全7,120戸が完成。
最大時には1万6788人が入居した。
その後、集団移転団地や自宅再建、復興公営住宅などが徐々に建築され
入居者が減少していった。市は入居期間を当初の2年から1年ずつ一律に延長。
新たな住まいの受け皿である復興公営住宅は昨年の3月までに
全4456戸が入居できるようになった。
入居8年目以降は、特別な事情が認められた世帯だけに限られた。
仮設住宅の解消を図りたい行政は最後の1世帯に何度も転居を勧めたが応ぜず、
県は明け渡しを求め提訴、この17日に復興公営住宅に転居した。
最後の入居者は「最初は長くても5年くらいと思ったが、なかなかふんぎりがつかず
市にも迷惑を掛けた。震災前のように暮らせれば」と自宅再建へ前を向いた。
大震災の傷跡は消えるものではない。応急仮設プレハブよりも、誰が考えても
復興公営住宅の方が住みやすいに決まっている。でも、9年間動くに動けない。
その気持ちと申しますか、傷が少しでも癒えないかと、誰もが待った。
県の提訴が引き金となり、後ろ髪を引かれる思いで、退去した。
そのことを、誰が責められようか。
敢えて書こう。絶対に震災前には戻れない。そのことは本人が一番わかっている。
「時間を止めたまま」にしておいてあげたい。その時間が9年。
日本人と申しますか、行政でしょうか、何と優しいのでしょうか。
この世で起こったことはこの世で解決します。
もし解決できないことがあっても、それは時間が包み込んでくれます。
石巻のプレハブ応急仮設住宅が消えます。大震災が風化することです。
風化させてはいけない、そんな声もありますが、
生きとし生きるものの記憶に残ればよいと私は思う。Goto
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