民主主義の脅威

新聞が言論の府たる時代は終焉を迎えたのか。
新聞命(しんぶんいのち)の私です。
一般紙の一般紙たる由縁は、時の権力に対してどのような言論を張り
如何なる姿勢を示すかにあります。
明治の初頭、新聞は政権の機関紙として登場。
その後、対立する政党が新聞を発行するようになります。
今の新聞の原型は、政党とは一線を画した陸羯南が主幹した独立系の「日本新聞」です。
「日本新聞」は何度も時の権力から発行禁止の処分を受け廃刊に追い込まれます。
文化欄を設け、正岡子規や高浜虚子、夏目漱石など明治の文豪たちを
世に送り出したのも「日本新聞」でした。
因みに正岡子規は「日清戦争」で「日本新聞」の従軍記者でした。
現職のトランプ大統領を「民主主義の脅威」と批判するニューヨークタイムズが
米大統領選挙の予備選を前に社説で急進派のウォーレン氏と現実的クロブシャー氏、
「民主党候補」の2人を支持すると表明しました。
米国では新聞社が大統領選で特定候補の支持を表明することが通例です。
別段驚くことではありませんが、二人を支持するとなると、どうなんでしょうか。
支持理由を、ウォーレン氏は「弁舌に才能があり優れた規制の立役者」だと分析。
「同意しない政策もあるが、同氏のメッセージは人々に響いている」と評価。
クロブシャー氏については「超党派の立法活動に実績がある」と指摘。
「分断した米国を団結させる力を持っている」と述べています。
「急進派と現実派」のどちらを選ぶのかは予備選を通じ
民主党と有権者が答えを出すべき」としています。
これって民主党の大統領が誕生すればどっちでも良いということです。
結構乱暴な社説ですが民主党は12人の立候補者がいます。
Nタイムズ紙が二人に絞って民主党をバックアップする姿勢を示したのですが、
一人に絞れないところが、米国政治の混乱の象徴ではないでしょうか。
日本では20日から通常国会が始まりました。
翌21日の新聞各紙、読売は首相の施政方針を一面で扱わず。
朝日は数日前に開かれた共産党の大会を社説でバックアップ、
毎日は「桜・大臣辞任・選挙違反・IR」安倍政権の綻びを正す国会と批判しました。
しかし、国民には何ら響いていません。
1860年以降、米国の新聞各紙は大統領選で特定の候補者を表明してきましたが、
近年はその影響力や効果が疑問視され、表明を見送る新聞社が増えています。
そうなんです。政治は新聞でつくられるという時代が終焉を迎えたのです。
「新聞命」の私としてはとても残念ですが新聞の現実です。Goto

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