イワシ運動と社会主義

私が古くなったのでしょうねぇ、理解できない政治活動が。
私のことです。あの頃(学生時代)は「社会主義が唯一世界を救う」と
「資本論」や「共産党宣言」を片手に「政治闘争」と称して学生運動に熱くなっていました。
冷めた大人たちは「麻疹(はしか)」のようなもの、そのうち治るさと。
その通りです。結構、長患いで「政党の書記」までのめり込み、
30歳近くまで掛かったのですが。それがどうですか、全快。
今では「どんな角度」から「社会主義は」などと言われても
「イデオロギー」対立の時代は終わったと何処吹く風です。
歳月がそうさせるのか、それとも、そもそも信念などなかったのか。
世界の話ですが、面白い政治潮流が2つ。
一つは米国の大統領選。民主党の候補者で「急進左派」といわれる人たちの勢いが
増していると言われています。その代表格が「サンダース上院議員」です。
米国で急進左派は社会主義だといわれます。
私にしてみれば、その政策はオバマ前大統領が導入した「オバマケア」
(医療保険制度)に象徴されます。内容は民間保険への加入を促す補助が柱です。
社会主義政策でも何でもありません。
だって日本の国民皆保険制度よりも緩い医療制度改革なのですから。
サンダース政策は、社会福祉政策や国民皆保険の実現や労働組合の強化を訴え、
富裕層への課税強化を唱えているが、アメリカンドリームを否定しているわけではない。
企業の国有化も望んではいない。欧州や日本の社会保障制度を目指しているに過ぎない。
これは「社会民主主義(社民主義)」であって社会主義ではない。
「社民主義」と「社会主義」の区別が付かないのか、社会主義の定義が変わったのか。
「麻疹」の後遺症がある身としては、米国の懐の深さはさすがと思うのみ。
もう一つはイタリアで若者たちが始めた「イワシ運動」です。
何をやっているのか、よくわからないのですが、「移民にイタリアが侵略される」と
主張して勢力を伸ばす「右派同盟」のサルビーニ党首が「イタリア人第一主義」を
唱えることに危機感を持った若者が、イタリア語でイワシのことを「サルディーネ」と
いうことから、色とりどりの「イワシの絵」を掲げ、
広場に集まるだけの市民集会が「イワシ運動」です。
政治家の演説もなく、政党の旗もない。集会といってもコンサートもあり、
若者たちが討論するだけ。「憎悪を煽るナショナリズムに危機感」を持っているのが
唯一のまとまり。敢えて言えば「政治に物申したい、国を良くしたいという
市民の希望を語り会う機会」ということに。集会の日時などはすべて
ソーシャルネットワークで広まる。12月にはローマで10万人が集まったとか。
常識的に考えれば運動の終着点は市民政党の「五つ星」運動のように、
政権を得て、自分たちの主張を反映させるのだが、政治家を批判することもないし、
リーダーもいない。権力を得るための戦略も戦術もないという。
これって、いったい何なんだ。私の感覚では、
政権を目指さない政治活動って存在するのだろうか、と疑念を持つのだが
政治となると熱いイタリアです。行く末を見てみたい。Goto

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