タケダの集中と選択。

グローバル企業で生き残るには、かくも非情であり大胆なものなのか。
これがグローバル経済の正しい経営のあり方なのでしょうかねぇ。
感情的になっているわけではなりませんが、
経営とは「収益をあげること」と割り切れば・・こういうことなのでしょうねぇ。
私の感覚とは随分と違うので戸惑っています。タケダ薬品工業の話です。
製薬業界の厳しい過当競争は尋常ではありません。
素人的には・・・製薬メーカーにはコロナウイルスを押さえ込んでくれる
「特効薬」を研究開発して欲しいと願うのですが。
タケダといえば・・・やっぱり「アリナミン」ではないですか。
痔の「ボラギノール」はお世話になったことがあります。
風邪薬「ベンザ」は秋が終わる頃にはTVCMで「今年の風邪にはベンザブロック」が
耳に残っています。素人からすればタケダは「大衆薬」のメーカーだと思っているのですが。
しかし、海外の大手製薬会社は今や大衆薬を中核事業から外し、
収益性の高い医療用医薬品に注力しています。
タケダも7年前に新社長が就任。収益性の高い事業に「選択と集中」する
経営方針に舵を切りました。企業の構造改革ですね。
で、世間をびっくりさせたのが19年にアイルランドの製薬大手シャイアーを
6兆2千億円で買収したことです。その結果、タケダは売上規模を3兆円として
医療用医薬品で世界のトップ10に踊り出ました。
なるほどそういうことかと感心していましたら、さすがですねぇ。
膨れ上がった4兆8000億円の有利子負債と「のれん代4兆円」の
債務返済に1兆5千億円の資産を売却すると表明。
その一つが子会社化していた「大衆薬」部門のファンドへの売却です。
売却額は約2500億円だそうですが、その額が多いか少ないかは別として、
タケダから「大衆薬」がなくなるのに一抹の淋しさを覚えます。
それだけではありません。
構造改革のために聖域なき改革を実行。30歳以上で日本事業を担う
勤続3年以上の社員のうち、本社事務部門の社員、医薬情報担当者(MR)に
希望退職を募り始めました。人数は非公開ですが、11月30日付で退社させるそうです。
他にも研究開発部門の人員削減をしており、主力の研究所の人員は5年間で
約半数の600人となっています。研究の主軸はすでに米国に移っているそうです。
それに創業の地とされる大阪本社などの資産も売却を決めています。
タケダは今や実質的には日本の製薬メーカーではなくなっているのです。
そうしないと、世界で通用する製薬会社にはならないのでしょう。
しかし、アナリストが見る現状では、タケダのパイプライン(新薬候補)のうち
臨床試験の最終段階は約20種だそうで、40種を超す大手各社とは差があり、
有望薬を創造できるのかと不安視されています。
タケダのこのダイナミックな構造改革、聖域なき改革によって、
世界を凌駕したいという野望、これこそが日本企業に求められているのでしょう。
そのことを是とするか否とするかの議論などしている場合ではないことを、
教えているのがタケダのグローバル化なのでしょう。Goto

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