新聞社は印刷会社?

武家の商法は怪我のもとと申します。

考えてみればそうですよねぇ・・・
我々は新聞といえば、日々刻々と移りゆく世界のニュースを記事にし、
政治の論評を行い、経済を分析、さらには新鮮でためになる
生活の情報を集め、家庭のポストまで届けてくれる、まさに生活の必需品です。

私のように新聞好き、新聞がなければ生きて行けないような「新聞命」(しんぶんいのち)にとっては、日常生活に不可欠な情報源です。ですから、新聞でもっとも大切なものは、記事であり編集です。それを足で拾って集めてくれる新聞記者には特別な感情、畏敬の念を抱きます。

新聞は社会の公器だと考えています。新聞に掲載された社説は新聞社の主張です。新聞社の主張は政治にも経済にも、もちろん社会にも多大の影響を与えます。また社会面に掲載される事件などは、緻密な取材に裏付けされ、その信憑性は他に類を見ません。

新聞は、社会を動かし、方向性、未来まで示唆します。ですから、新聞は社会の公器と言われるのです。よって新聞の生命線は記事であります。

新聞に掲載される広告について、その重要性はあまり語られてはいませんが、
掲載には一定の基準が設けられ、どんな広告でも掲載できるものではありません。問題があるのではと判断されますと、審査部に回され内容がチェックされます。表現は公序良俗に反していないか、違法性はないかなど検閲があります。
ですから、新聞広告には信頼性があります。

最近、日経新聞が盛んに「新聞型印刷ってどれくらいお得?」そんなタイトルの
広告を掲載します。(写真参照)うぅ〜んって思いました。
でも考えてみてなるほどと、納得です。でも新聞の概念が少し変わりました。

広告の内容はこんなコピーです。・・・日経で知る。日経で刷る。
日経の印刷サービスは新聞印刷で培った技術力を生かし、広告・販促ツールとしてタブロイド版やパノラマサイズなどの新聞型印刷をお引き受けしています。
「紙」ならではの親近感や温もりのある情報ツールとして可能性は無限大に広がります。短時間で大量印刷が可能!お気軽にお問い合わせ下さい・・・

そうなのです。日経新聞が印刷業を始めたという広告です。
他の印刷会社とは違い・・・スピーディな大量印刷でコストが削減できます。
読ませる情報で心を掴めます。新聞社ならではの特別感があります。
そして、実は特別エコなのが新聞型印刷なのですと、特徴を説明しています。

考えてみれば・・・新聞を新聞としてみているから、公器なのでしょうが、
大型の紙が印刷できる印刷会社だと見れば、新聞を印刷できる印刷会社ってことです。当たり前ですが・・・実に不思議に思えます。

なぜなら、新聞社を印刷会社と見たことがないからです。
なぜ、日経が印刷サービスも致します、と言う広告を出すのでしょうか。
簡単です。印刷機・輪転機は24時間稼働しているわけではない。

最近は発行部数も激減、夕刊も廃刊になっています。となりますと、
膨大な設備投資をした輪転機が遊んでしまう。だったら、輪転機で稼ごうではないか。そんな発想なのでしょう。経営陣としては、部数減は購読料と広告量の減。売上減になります。であれば、有効活用をとなったのでしょう。

輪転機はなぜ、遊んでいるのか。いや遊ばせているのか。
万が一、重大な事件が起きた時、号外を刷って告知せねばならない。
そんな矜持が新聞社にあったから、輪転機で新聞以外のものを刷るなんて
あり得ないと言うのが常識でした。

同時に、印刷会社とは一線を画していたからなのでしょう。
背に腹はかえられない。だから業界・産業・行政の定期刊行物も、コミュニティ情報物も、プロモーションツールも会社や学校のブランドイメージツールも
会報や社内報などのコミュニケーションツールも、卒業制作の印刷も、さらには店舗応援のためのパッケージまでなんでもやります。
まるで印刷会社と総合広告代理店です。

生き延びるためには、何でもやりますよ。その逞しい商魂には敬意を表しますが、では新聞社の印刷業務、広告代理店業務は誰がやるのでしょうか・・
まさか、印刷工場が営業から業務一切を引き受けるわけではないでしょう。
だとすると、新たな部署を新設するのでしょうか・・・

出なければ・・関連会社の広告代理店に下請けさせるのでしょうか・・
輪転機が遊んでいるという理由で・・印刷業、うまくいきますかねぇ。
蛇足ですが・・武家の商法は怪我のもとと申します。Goto

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