忠犬ではなく、誇り高き同盟国であれ

―高市新首相とトランプ氏来日をめぐって思うことー

高市新首相が就任してまだ一週間。所信表明演説を終えたばかりで、いきなりトランプ大統領の来日という難題に直面した。

初の首脳会談としては上出来だったと思う。堂々と、そして誠実に対応した。外交の舞台において臆することなく向き合った姿勢は、高く評価してよい。

両首脳は「日米同盟の新たな黄金時代を共に築く」と語り合い、「日米は最も力強いレベルの同盟だ」と確認した。世界に向けて、日米関係が安定していることを示した意義は確かに大きい。だが、私は手放しで礼賛する気にはなれない。

なぜなら、日米同盟は日本の生存の基軸であると同時に、
もっとも慎重に扱うべき“国家の軸”だからだ。

一つ目に、トランプ氏の本質は「アメリカ・ファースト」である。例外はない。日本が防衛費を前倒しで増額しようが、巨額の対米投資を約束しようが、それは同盟強化という名のもとに、結局は米国の国益を支える構図にすぎない。
外交とは、いかにして“対等な信頼”を築けるかの試練である。その肝を忘れてはならない。

二つ目に、日本はあくまで独立国である。アメリカの五十一番目の州ではない。ご機嫌を損ねまいと頭を下げる屈辱外交は、断じて避けるべきだ。地政学的にも、我が国はアジアの一員である。米中対立において、一方的に米国の立場を先行して代弁することは、日本の長期的国益を損なう危険を孕む。

新聞各紙の社説を読むと、その点で歯切れが悪い。朝日、毎日は追随の危うさを説くが、どこか評論調。読売、日経は同盟の意義を強調するが、現実への踏み込みが足りない。

いずれも「憂国の言葉」が見当たらないのだ。もし日本が、米国にただ尻尾を振る従属国であるならば、高市首相は保守を名乗る資格はない。右傾化ではなく、矜持の欠如である。

真の保守とは、国の独立と尊厳を守ることだ。
トランプ氏との会談は、その試金石となった。高市首相には、したたかで、かつ気品ある外交を期待したい。米国を敬いつつも、決して屈しない。
主権国家としての矜持を胸に、対等な信頼関係を築いてほしい。

新聞が本来果たすべき使命は、単なる報道ではなく、国の進むべき針路を示す羅針盤であるはずだ。ましてや、社説では。いまこそ、言葉の力で国家を支える時である。
私は、従属ではなく、誇り高き同盟国としての日本を信じたい。
Goto

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