A Iが拓く、公共交通の新時代

公共交通機関の問題をどう解決するか。
これは、全国の自治体が今まさに頭を抱える課題である。
人口減少と高齢化で利用者は減り、バスも鉄道も維持が困難になっている。

2020年の国交省データによれば、一般路線バス事業者の99.6%が赤字。現在では100%が赤字経営といわれる。ローカル鉄道も八割が赤字。もはや従来の路線型交通の仕組みは限界に来ている。

では、どうするか。
いま全国で注目されているのが「Smart Access Vehicle Service(SAVS)」、通称サブスである。岡山県久米南町や福岡県福智町など約40か所で実運用が始まり、神戸市北区、会津若松、横浜みなとみらいなど全国85か所以上で実証実験が進む。タクシーと路線バスの長所を融合し、AIが最適な車両とルートを割り出す新しい交通システムだ。

使い方は実に簡単だ。
スマホアプリで乗車人数、出発地、行き先、到着希望時刻を入力すると、AIが即座に最適な車両を割り当て、効率的なルートを計算する。運転は人が行うが、配車やルート設計はAIが担う。これまでのように「決まった時間に来ないバスを待つ」必要はない。まさに、利用者が主役の交通である。

その先には、自動運転が待っている。
すでに中国やアメリカでは無人タクシーが街を走る。日本も技術的には可能だが、安全基準の厳しさとメディアの過剰な完璧主義が、実用化を遅らせている。私は思う。これこそが日本のIT化を阻む最大の壁であり、AI後進国への道を歩ませている元凶ではないかと。

AIはすでに我々の生活に深く浸透している。
交通においては、画像認識で障害物や歩行者を感知し、瞬時に判断して最適な行動を取る。AIが支えるオンデマンド交通は、地域の足を守り、移動の自由を取り戻すための最も現実的な解である。

「AIは怖い」「理解できない」と拒むのは、時代の流れに背を向けることだ。
文明の進歩を恐れる者ほど、社会の変化に取り残される。AIは敵ではない。私たちの行動を支え、生活を豊かにする道具である。

公共交通が“ひとり一人のために動く時代”は、もうそこまで来ている。
A Iを恐れず、受け入れ、活かす。
それこそが、私たちの行動の自由を確保し、地域を再び元気にする第一歩ではないだろうか。

岐阜県では県主導でLR T構想(次世代型路面電車)が持ち上がっているが。かなりがA I化されるのだろう。住民の日常的な足の悩みを解決せねばならない自治体との整合性は問われないのだろうか?Goto

コメント