賃上げと言う覚悟

減税ではなく、働く者の誇りを取り戻す道

春闘が本格化した。総選挙では、各党が競うように消費税減税、なかでも食料品の税率ゼロを公約に掲げた。だが、賃上げと物価高対策について、私は違う考えを持っている。

食料品の軽減税率を仮にゼロにしたとして、その効果は長くて一年だ。二年目には前年同月比で見た物価の下押し効果は消える。三年目に税率を8%に戻せば、その瞬間、物価は再び跳ね上がり、実質賃金を直撃する。

まして円安が続き、原材料やエネルギー価格が上がり続ける環境下では、減税に乗じた値上げも起こる。結果、減税の恩恵は薄れ、物価高を抑える効果は限定的だ。

消費税減税は分かりやすい。しかし、分かりやすさと有効性は別物である。国民が本当に求めているのは、物価高を上回る賃上げだ。景気を回し、経済を前に進める方法は、いまやこれしかない。

もはや、春闘は労使が賃上げを「お願い」し合う時代ではない。大手企業は2026年度に向け、前年並み、あるいはそれ以上の賃上げを明言し、物価上昇を超えることを前提に動いている。連合の目標をはるかに超える決断も珍しくない。この流れは、少なくとも今後も続くだろう。

中小企業である我が社も、3年連続で5%以上の賃上げを実施してきた。次年度も維持しなければならない。楽ではない。だが、やらねばならない。経営者である以上、それが責任だ。

問題は中小零細企業である。
昨年、連合は6%以上の目標を掲げて闘ってくれたが、結果は4.6%。しかもこれは、連合が把握できる範囲の話だ。現実には格差はさらに広がっている。連合傘下ですら、「賃上げ疲れ」が見え始めている。

私の本音を言おう。
この程度で疲れるなら、辞めてしまえ、である。物価高を上回る賃金上昇を実現できない経営者は、経営者失格だ。もちろん私も含めてだ。知恵も、才覚も、覚悟も足りない。厳しい言い方だが、事業経営とはそういうものだ。これを理解せずに、政治や社会を批判するだけでは何も変わらない。

数字は残酷だ。2025年度、大企業の売上高経常利益率は9%を超える一方、中小企業は4%以下。赤字企業は全法人の6割以上に及ぶ。これは物価高以前の問題である。賃上げを考える土俵にすら立てていない企業が、あまりにも多い。

この歪みを是正するのが政治の役割だ。とりわけ、物価高の主要因である過度な円安は是正せねばならない。景気悪化と中小零細企業の苦境を放置してはならない。私は、歯を食いしばってでも、関係各位の力を借りながらでも、我が社の賃上げを続ける。

そのためには、連合と大企業がさらに踏み込んだ賃上げを実現してくれることが不可欠だ。それが我々の励みとなり、共に働く仲間たちの目を覚まさせる。

働いて、働いて、働いて、働いて。
知恵を絞り、工夫を重ね、適正な収益を上げる。
その果実を、賃金として正当に分配する。
それが、働く者の誇りを取り戻し、この国の経済を再び動かす唯一の道だ。
さぁ、やろう。覚悟を決めて、前へ進もう。Goto

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