民主主義国家です。意見広告に思う。国民には責任がないのか?
七月一日。日本列島・梅雨の中休みか?酷暑となった。これから三か月余り、本格的な夏である。私は暑さも寒さも自然の摂理だと思っている。自然界の生き物は皆、自らの命を自ら守って生きている。守れないものは淘汰される。それは人間も同じだ。
しかし、人間には他の生物にはない力がある。それは「知恵」である。暑さを知り、水分を補給し、休息を取り、危険を避ける。自然を恨むのではなく、自然に備える。自分の命は自分で守る。この自助の精神こそ、人間が培ってきた最大の知恵ではないだろうか。
さて、六月末の朝日新聞と読売新聞に、「裁判官は憲法を守る、ゴールキーパー」と題した意見広告が掲載された。サッカーワールドカップが盛り上がる中、その話題性を巧みに取り入れた広告である。広告としては実に上手い。読者の目を引き、関心を呼び起こす力がある。
内容は、「一人一票実現会議」が、一票の格差の是正を求めるものだ。欧米や韓国では人口比例を基本とした選挙制度が定着しているのに、日本だけが二倍、三倍もの格差を放置している。これは民主主義の理念に反し、憲法の要請にも背くという主張である。
私は、一票の価値はできる限り平等であるべきだと思う。
人口比例を基本とした制度を目指すことにも異論はない。
しかし、この広告は、その先で日本のGDPシェアの低下や、主要国の中で最も低い平均賃金を示し、「一票の格差」が日本衰退の原因であるかのように訴えている。
ここには、大きな論理の飛躍がある。
思い出していただきたい。日本が世界第二位の経済大国として世界を席巻していた時代、一票の格差は今以上に大きかった。それでも日本企業は世界市場で戦い、日本人の所得も伸び続けていたのである。
日本経済が停滞した原因は、一票の格差ではない。少子高齢化、人口減少、長引くデフレ、投資不足、生産性、教育、エネルギー政策など、幾多の要因が複雑に絡み合って現在がある。選挙制度だけを原因とするのは、あまりにも短絡的だ。
私は、この広告の目的を否定するものではない。しかし、正しい目的であればあるほど、論拠は正確でなければならない。論理を飛躍させれば、かえって主張の説得力を失う。
民主主義を守るゴールキーパーとは、裁判官だけではない。事実に基づいて考え、自ら判断する国民一人ひとりこそが、民主主義というゴールを守る真のゴールキーパーなのである。Goto



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