「シロ」も悪けりゃ「クロ」も悪いじゃ・・前には進まんわ。
もう忘れてしまったでしょうが。国の無駄使いにメスをいれるべく「事業仕分け」が盛んに行われていたのは・・・ほんの数年前。その際・・・流行語大賞になったかどうかも忘れましたが。都知事の有力候補にも上がっていた蓮舫参院議員の「2番じゃダメなんですか」でした。
鋭い切れ味。政権交代の高揚もあって、メディアも賞賛したものですが。予算をカットされることへの憤りと、学問や研究の分野は常に1番を目指すものだとの学者達の真摯な声も上がり・・事業仕分けと別次元に火が付き・・・「2番論争」が燃え上がったものでした。
それが、ここに来て、事業仕分けどころじゃない。この国がデフレ経済から脱却するにはジャブジャブにお金をばらまけ。「2番じゃなきゃダメ」とまくしたてる人が現れたじゃないですが。そうです。日銀のクロダ総裁が放った「量・質とも違う異次元の金融緩和策」のキーワード「2」です。
物価上昇率2%のインフレ目標を2年で達成する。金融調節の目標も短期金利から資金供給量に切り替え、長期国債、株価指数連動型上場投資信託の保有額を2年で2倍の270兆円と極めて巨額にすると・・実に明確に対策を示した。まるで「2番じゃダメですか」の蓮舫さんのように。
新聞各紙は、2%のインフレ目標を2年で達成するのは難しいとしながらも「デフレ脱却に向けた第一歩だ」と賛意を示したのは読売だけ。諸手を上げて支援するかと思った日経は意外に冷静。日銀が政府の尻拭いしている印象を与えれば、日本経済運営に対する信用が失墜すのが心配。政府も消費増税や社会保障改革に責任を持ち、強い覚悟で財政再建取り組めと、注文をつける。
毎日は御多分に漏れず「危険を伴う大きな一歩だ」株価は上がり、円安に触れ一見、結構な滑り出しだが、極めてリスクの高い賭けが始まった。金融政策の手段に新鮮味はない。価値が目減りする資産を買うことになる。償還年数の長い国債を買うのも危険だ。政策委員会が全会一致で合意したのも危うさを感じると、ここぞとばかりに批判している。
勿論。朝日も毎日と同様。大規模な金融緩和には副作用もつきまとう。まずは「資産バブル」の発生だ。株や土地を持たない人への恩恵は少ない。バブルが崩壊すれば一気に景気が冷え込み、悪影響は資産を持たない人にしわ寄せが行く。資金が穀物相場に向えば円安と相まって原材料の原価が跳ね上がり、家計を圧迫する。賃金が上がらねば物価上昇で生活苦が・・・と、朝日らしい批判を展開している。
いかんいかん。長くなってしまった。
クロダさんはインタビューで、「現時点で長期金利が上昇するとか、資産バブルが膨れ上がる懸念は持っていない」「財政赤字の穴埋めでもない」「懸念に対して必要な措置はすべて講じている」と「キーワード2」に自信のほどを見せている。
私は新聞が、新聞の使命として、懸念を紙面で書くことになんら問題はないと思っているが。しかし、昨日まではあれだけ、慎重居士のシラカワさんがデフレの元凶ように批判していたのに、その舌の根も乾かぬうちに、今度はクロダさんを、白も黒も滅多斬りするのは如何なものかと思う。
明日変調が起こったら、ほら見たことかとでも、嘯きたいのであろうか。
私は、やったらええがね。どんどん緩和したらええがね。「2番でええがね」とエールを送りたい。Goto
コメント