兵器で未来は守れるか

青臭い、書生論だが、それが新聞の使命ではないでしょうか。
秋田県民は幸せだと改めて思います。
なぜ、そんなことを。秋田は人口減少が著しく、第一次産業以外に、
目立った産業なく、政府が進める観光産業ですら、方途がない。
それに、寒冷地、冬は雪に覆われて暮らし難く、若者は秋田を離れる…
そんな日本海の寒風が荒ぶ秋田県のどこが幸せなのだ……
いやいや。憤りはわかりますが。                        
そう自虐的にならないで下さい。                        
秋田には県民が育んできた「秋田魁新報」があるじゃないですか。
社是「文章報国・踏正勿懼」(せいをふんでおそるることなかれ)を
掲げ堂々と「言論の府」を貫いています。
政府は、北朝鮮の脅威に備え、新型兵器イージス・アショアを
秋田県に配備することを閣議決定した。
秋田県民は、防衛計画の大綱にないアショアの話がなぜ急浮上し、
導入が決定したのか、疑問を抱いた。
昨年7/16付、秋田魁新報朝刊一面に「兵器で未来は守れるか」という、
異例の社長論文が掲載された。新聞の原則に「経営は現場に口出ししない」が
ある。読売の場合は度々編集権を脅かす「老害」が君臨しているが。
論文は「国の安全保障は尊重すべきとしつつ、北朝鮮が対話へ動き出した時に
「脅威に備える」としてミサイル発射装置を据え付けることは正しい選択だろうか」と
アショアに反対を鮮明にした。
もちろん、この青臭い平和論に反対の声が上がった。「国の専権事項である防衛政策を
一地方紙がうんぬんするのはおかしい」「県民を誘導し過ぎではないか」と、
自民党系の政治家たちは。(朝日新聞より)
論文を書いた根拠を、その社長(現相談役)は「秋田は奈良時代は渤海国と交流し、
江戸から明治にかけ北前船で栄えた。県も中国やロシアとの航路開設など、
いろんな施策予算をつぎ込んできた。それ全部をぶち壊すような兵器を置くことが秋田の道に
なるのか。交流・交易の日本海を抗争の海にしてはならない」と。
歴史を重んじての「反対」表明に、一定の評価はできるが、
やはり「青臭い」書生論ではある。でも、そもそも新聞とは、書生論なのかも知れない。
なぜなら。北朝鮮から、一発のミサイルが秋田県近海に砲撃されたら、
それこそ、論調は一発で霧散するからである。
しかし、政府の乱暴な手順に「もう少し丁寧にやれ」「長期展望はあるのか」と
「正を踏んで、懼るるに立ち向かう」その姿勢こそが、新聞の使命である
秋田魁新報が秋田県民の拠り所であることを証明したと思う。Goto

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