人手不足の原因に「働き方改革」があるのではないか。
中小企業の倒産が急増しています。
19年は08年のリーマンショック直近のピーク時を上回る約8500件が倒産、
20年も増加傾向が続く見通しだと日経は分析しています。
戦後最も倒産が多かったのは、不動産関連などの倒産が相次いだ1990年代です。
原因は至ってシンプルで、バブル崩壊による急激な景気悪化です。
日経によりますと、19年に急増した倒産の原因は景気ではありません。
「人手不足」だそうです。取分け「後継者難」は深刻で、倒産の6割が人手不足です。
今や70歳を超える中小・零細企業の経営者の約半数は後継者が未定との試算があります。
この分では、今年のみならず今後、団塊世代の経営者が後期高齢者になる
5・6年先には廃業も含めてバタバタと倒産することになるでしょう。
この問題の原因を高齢化、地方経済の疲弊、あるいは、未曾有の求人難で
片づけて良いのでしょうか。高齢化なら移民対策がありましょう。
地方経済の問題なら「地方創生」という方策があるでしょう。
その分析を否定はしませんが。中小・零細企業の倒産を早め、増やしている原因が
他にもあると思います。それは「働き方改革」という名の「亡国施策」です。
そもそもですが「働き方改革」は誰を対象にしているのでしょうか。
もちろん、賃金労働者です。中小企業の経営者ではありません。
免許もなければ、許可もない、下請けや孫請けである普通の中小・零細企業にも
「働くことは悪」だと言わんばかりに急激な労働時間の規制が行われています。
松下幸之助翁の言うところの「ダム経営」を可能ならしめる財政的に余裕がある
大企業ならいざ知らず、街の中小・零細企業は、汗水流してその日、その月の
糊口を凌ぐのです。そんな現場にも、躊躇なく「働くことは悪」であると、
真面目に働く人たちに襲い掛かります。どうなりますか。
未曽有の求人難の時代です。もっと楽で遊んでいるような仕事で、
今よりも給料が増える、そんなまやかしが横行すれば、従業員は辞めるでしょう。
そうなれば、中小・零細企業は経営者自らが24時間、365日働いても
追っつかないってことになります。それでは身体が保たない、せめて元気な内に
「店仕舞い」をするかとなります。その決断ができない経営者は倒産で、
楽になる道を選ぶことになります。
日本の経済は1割の大企業と9割の中小・零細企業で成り立っています。
「働き方改革」とは、1割の大企業労働者のためにあります。
9割の中小・零細企業に強引に当てはめる現状は「角を矯めて牛を殺す」ことになります。
「働き方改革」などと如何にも耳障りが良い「ポピュリズム」が
中小・零細企業の人手不足を招く、倒産のもう一つの要因であることに
自民党政権は気付いて欲しいです。Goto
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