タイムラグ

海洋国家・日本、造船・海運も弱くなったモノです。
風が吹けば桶屋が儲かる・・・こんな諺(ことわざ)があります。
風が吹けば眼を悪くする人が増える。眼が悪い人の多くは三味線弾きになる・・
三味線には猫の皮が要る。猫が減れば鼠が増え、鼠は桶をかじる。
だから桶の需要が増え桶屋は儲かる・・・あてにできそうもないことに期待する例え話です。
諺通りだと言ってしまえば・・・叱られるかも知れませんが・・
コロナが流行すれば、造船・海運会社が儲かるって話があります。
コロナで巣ごもりが増える。どこにも出掛けられずモノを買う人が増える。
増えれば世界中から運ばねばならない。運ぶには船がいる。
荷物が増えれば海運業者が潤う。儲かれば船を注文する。受注が増えれば造船会社が儲かる。
造船・海運企業は近年厳しい業績が続いていました。
リーマンショック前の好況期に競って船を造り、買ったものの
完成した頃には荷動きが落ち込み深刻な「船余り」に陥っていました。
どこの業界でもそうですが、そんな状況になりますと、
海運各社は運賃を値下げしてシェア獲得競争に走り、業界全体が
利益を確保し難い構造になっていました。韓国の大手海運会社も16年に倒産しました。
それが、今年の上半期だけで、最近の受注水準を軽く上回っています。
日本造船工業会によりますと、ここ5年ほど下がり続けた日本の造船手持ち工事は
昨年の12月に底を打ち、持ち直しています。中韓に押されている造船業界ですが、
受注増が価格で戦えるようになったので造船バブルだそうです。
そこまで需要が堅調だということでしょう。
人の心は移ろい易いものです。
米国のスポーツ観戦解除、英国の行動規制撤廃、欧米では日常が戻りつつあります。
コロナ禍などどこにあったのか、そんな状況です。
コロナが収束すれば「モノからコト」に人の心が流れるのは間違いありません。
となりますと、造船には最低でも2年は掛かります。受注した船が完成する頃には
巣篭もり需要が激減、世界の荷は動かないってことになりかねません。
風が吹けば桶屋が儲かる・・あてにできそうもない「モノ需要」に期待して
「船余り」になるのではと危惧します。
今、稼げるうちに稼ぎ・・・次の稼ぎがくるまで、
造船のタイミングをズラすのも経営手腕だと思うのですが。タイムラグは見えないモノ。
経営の現場にいますと「女神には後ろ髪がない」ことには気付かぬようですね。
それにしても海洋国家・日本・造船も海運も弱くなったモノです。Goto

コメント