高田郁の「あくきない世傳」・再び岐阜に百貨店の灯を・・・・
人口42万人。岐阜県の県都、岐阜市から百貨店が消える。
岐阜高島屋がこの7月をもって閉館する。百貨店は「小売業の王様」と呼ばれていました。岐阜市も最盛期には丸物(京都近鉄)・丸宮(地場資本)それに
新岐阜百貨店(名鉄系)と四つの百貨店が、繁華街柳ヶ瀬を中心にひしめいていた時代がある。
それが一つ消え、二つ消え、最後に残った岐阜高島屋が姿を消す。
岐阜市民の間では惜しむ声もあったが、郊外にスーパーやコンビニ、
そして商業集積地など新興小売業が次々と誕生、売上の低迷に歯止めが掛からなくなった。それでも、岐阜市に百貨店がないのは消費社会であってはならないと、行政も支援したのだが・・・
主な消費者はJRで20分の名古屋高島屋に流れた。
岐阜高島屋は独立した資本、高島屋と名乗っても高島屋ではない。
それが原因だとは思わないが、インポートのネクタイすらなく品揃えも不十分、
「鈍すれば貧す」で経営難が続いた。それに築50年を超え老朽化した施設。家主に建て替える力はなく。空調の再整備すらままならぬ状態。
隣接して建設された大型マンションの住人たちは話が違うと憤るが・・
こよなく岐阜を愛する私にしてみれば、「高島屋さん」ありがとうございます。
長きに渡り百貨店の火を灯し続け、岐阜の消費文化を支えていただいたと、
お礼を申し述べねばならない。それ以上、何を望むのか。
考えてみて下さい。
全国の百貨店って1965年に売上高0.86兆円。1991年に9.71兆円に、それがピークで23年には5.42兆円です。インバウンド効果で、都市部の百貨店、売上が伸びていますが・・・それとて新しい方向性を示さねばいつまで続くか?
比例してですが。小売業界での百貨店の地位は・・・
百貨店・08年7.38兆円。23年5.42兆円・・・22.6%減です。
スーパー・08年12.87兆円。23年15.64兆円・・21.6%増。
コンビニ・08年7.85兆円。23年11.66兆円・・48.4%の伸びです。
因みにEC(ネット通販)は08年・0.98兆円が23年14兆円・14.2倍です。
はっきり申して。栄枯盛衰。もはや、百貨店が百貨店であることは
あり得ないのではないか。新しい形態にするか。それとも、衰退する状態でも
富裕層に的を絞った「外商」は伸びているので、その営業スタイルを模索するのか、考えられはするが、それとて、限界があろう。
百貨店の歴史はご案内の通り、高島屋・松坂屋・大丸などその名が示す通り、
江戸時代の呉服屋が時代に合わせ知恵と工夫をこらし、消費者ニーズを先取りしながら変遷して今日がある。高田郁さんの小説・「あきない世傳」を読めばわかる。
私は、いつか再び、形態は変わっているかもしれないが・・・新百貨店・・・
岐阜高島屋が、岐阜の消費文化を牽引すべく戻ってくることを
信じてやまない。さようなら・・・岐阜高島屋。Goto
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