怪我の功名とはこのことです。
先週・足裏を痛めました。よって、週末の運動はドクターストップ。
足裏です。一番の治療は安静。動くなってことです。
そうです。ゴルフはあかんぞ。てなことで、予定をキャンセル。
気の置けない仲間たち「あいつは最近、調子が悪い、だから逃げたな」
などと陰口覚悟で、大人しくしていました。
であれば、そうだ。久しぶりに映画でもと。最寄りのシネコンをネット検索。
おっ・・私にそっくりの大スター。トム・クルーズ主演の「ミッション:インポシッブル/ファイナル・レコニング」が封切られているではないか。
足も痛いことだし、トムのアクション映画で、スカッとするのも良いと。
掛かり付けの医院で点滴治療を受けてから、出掛けました。
でです。ネットでは上映中のはずなのに、チケットが買えないのです。
上映案内表示版を見ると、放映することに。どうなっているかと、
首を傾げていると、小さな張り紙に目が。
「本日予定していた『ミッション・インポシッブル』の上映は
機材トラブルにより中止。ごめんなさい」と。おいおい、であればネットで表示せよ。とムッとなりましたが・・痛い足を引き摺ってここまで来たのだ。仕方がない。
他の映画を観るか。
で「これが良い」と目についたのが6日に公開された「国宝」です。
「怪我の巧妙」って諺がありますが。正しくそれでした。
NHK大河ドラマで主役渋沢栄一を演じた若き俳優吉沢亮と
現大河「べらぼう」で蔦屋重三郎を演じる横浜流星
二人が歌舞伎役者を見事に演じています。
原作は吉田修一の同名小説「国宝」
監督は新進気鋭李相日。
監督は歌舞伎俳優の中村鴈治郎に3年間・歌舞伎の幕内で学んだ。
いやぁ、歌舞伎の世界。我々が知っているのは、表面だけ、
外からは見えない決め事やしきたりがきめ細やかに表現される。
ひとりの美貌の少年(吉沢亮)が、その才能を見込まれ、上方歌舞伎の名門の当主(その息子が横浜流星)に引き取られ、歌舞伎・伝統芸を仕込まれ、
葛藤を繰り返しながら、芸に身を捧げる。
私は感想を申し上げるのも烏滸がましい。
それほど感動した。俳優とは申せ亮と流星・・よくぞここまで舞った。
それを観るだけでも価値がある。
この映画そのものが歌舞伎の演目になるのではないかと思うくらいだ。
因みにだが、歌舞伎の古い演目だが鷺娘(さぎむすめ)がある。
水辺に佇む白無垢姿の娘。 それは、人間に恋をしてしまった鷺の精。 道ならぬ恋に苦しむ鷺の精が、人間の娘に姿を変えて、その一途な恋心を切々と伝える。しかし、やはり最後は再び鷺の精に戻り、遂げられない恋に苦しみながら、しんしんと雪が降り積もる中、息絶えてしまう物語。
この鷺娘を頭に置いて、ぜひ、ぜひ鑑賞いただきたい。
足裏の痛みを忘れ、2時間50分の大作に感動した。
怪我の功名で日本の伝統芸能の価値を知り心に残る映画に出会った。
映画「国宝」間違いなく、今年の日本のアカデミー賞はもとより、
国際映画祭で大賞に輝くであろう。トム・クルーズには悪いが。
断言する。Goto
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