環境破壊と原発

自然とどう折り合いをつけるのか?

無秩序なメガソーラーの開発が、日本各地で深刻な環境破壊を招いている。
北海道釧路市では、このほど市議会で設置を規制する条例が可決された。国立公園である釧路湿原周辺は、特別天然記念物タンチョウの生息地。

自然の宝を守るため、出力10キロワット以上の施設は許可制とし、実質的に新規開発に歯止めをかけた。登山家の野口健氏も「森林を伐採し、地形を変えてまで必要なのか」と疑問を投げかけている。

メガソーラー建設は、2012年に始まった再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度」に端を発する。資源エネルギー庁によれば、制度導入から24年度末には認定件数は3倍に膨れあがった。

その歪みは全国に広がる。福島市の先達山では約60ヘクタールの山肌が剥き出しになり、9万5千枚ものパネルが並ぶ。住民は「土砂崩れの危険はないのか」「反射光がまぶしい」「景観が失われ悲しい」と訴えるが、事業は止まらない。

仙台市秋保地区でも、温泉街の背後に広がる森林6千ヘクタールに国内最大規模の施設が計画され、景観や水質汚染への懸念が市民の反対運動を呼んでいる。総務省の調査では、全国816市町村の4割で太陽光発電に関するトラブルが発生しているという。

私は思う。北海道の大自然を、私たちは「未開の地」として大切に守ってきたではないか。なぜそれを破壊してまで電力を得る必要があるのか。もちろん、原発は事故が起これば悲惨だ。しかし森林を伐採し、国土を削り、希少動物を追いやって良いのか。

国は地方任せにせず、固定価格買い取り制度を見直すべきだ。政治が責任を持ち、時には原発推進も含めて現実的なエネルギー政策を再構築する覚悟が必要ではないか。(その方針を示しているがチグハグだ)

環境破壊はメガソーラーだけではない。近年、熊の出没被害が激増し、死者も出ている。毎日新聞の調査によれば「駆除すべき」が60%。一方で動物愛護団体は「生態系の破壊こそ原因だ。人と熊が共存できる環境を」と訴える。確かに、人間が自然を壊した結果、熊が里へ下りてくる。だが、それをただ「人間が悪い」と片づけて良いのだろうか。

山守の言葉を思い出す。「自然は放置すれば荒れる。人の手入れがあってこそ共存できる」。人間も自然の恵みを活用しなければ生きられない。問題は「原発かメガソーラーか」という二項対立ではない。大切なのは、人間が自分のエゴを抑え、自然と折り合いが持てる覚悟を持つかかどうかだ。

環境破壊を防ぐために、原発という選択を現実的に議論する必要があるだろう。事故の恐怖に目をつぶるのではなく、森林伐採や生態系の破壊を放置するのではなく、国全体で責任を持ったエネルギー政策を描くことが急務だ。

「自然とどう折り合いをつけるのか?」
その答えを探すのは、私たち人間自身である。Goto

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