平時の一歩が、有事の百歩にまさる
今日は、気象庁が20日に関東・東海地方の梅雨明けを発表した直後にあたる。岐阜では22日、23日と観測史上初めて40度を超える猛烈な暑さを記録した。まさに「災害級の酷暑」である。
昔から「梅雨明け三日」と言われる。梅雨が明けて三日ほどは、一年でもっとも湿度と気温が高くなるという先人の知恵である。地球温暖化が進んだ今、この言い伝えは決して迷信ではない。7月下旬から8月上旬は、日本でもっとも危険な季節になったと認識すべきだろう。
一方で、この時期は氷、アイスクリーム、冷菓、冷たい飲料などが最も売れる季節でもある。暑さを嘆くだけでは経済は動かない。知恵を絞り、工夫を重ね、新しい商品やサービスを生み出す。商魂たくましい人々が汗を流すからこそ、経済は回り、人々の暮らしも支えられる。危機を商機へ変える逞しさもまた、人間の力である。
そんな中、国会では防災庁関連法が成立し、11月の発足を目指すこととなった。首相直属の組織として、防災相が各省庁を統括し、南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの大災害に備える。
平時の備えから発災、応急対応、復旧・復興まで一貫して司令塔となる。まさに「備えあれば憂いなし」を具現化する組織であり、大いに期待したい。
しかし、期待が大きいからこそ、二つ注文を付けたい。
第一は、気象庁との連携である。異常気象が常態化した時代、防災と気象は切り離せない。豪雨も猛暑も台風も、正確な観測と迅速な情報伝達が命を守る。平時も緊急時も、組織の壁を越えて一体的に機能する体制が必要ではないか。場合によっては気象庁を防災庁の中核機能として位置付ける発想も検討に値する。
第二は、人事である。
どれほど立派な法律を作っても、最後は「人」で決まる。人間学では「事を成すは人、事を壊すも人」という。防災相は単なる論功行賞のポストではない。国民の命を預かる最高責任者である。世襲だから、順番だから、大臣経験を積ませるためでは困る。命を懸ける覚悟があり、現場を知り、決断力と胆力を備えた人物でなければ務まらない。
政党の枠を超え、本当に優秀な人材を登用する度量を持ってほしい。それができなければ、防災庁は新しい看板を掲げただけの役所に終わってしまう。
人間学は、「平時の一歩が、有事の百歩に勝る」と教える。災害は必ず来る。しかし、被害の大きさは、人の備えによって変えられる。だからこそ、防災庁には組織の新しさではなく、人の志と覚悟で、日本の命を守る司令塔となってもらいたい。私は、その一点に最も大きな期待を寄せている。Goto


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