野党に吹く、冷たい風
ビールに「秋味」がある。缶には、赤や黄色に色づいた紅葉や楓。最近すっかりビール党になった私だが、この一本が店頭に並ぶと、なぜか「ビールの季節も終わったなぁ」と感傷的になる。まだ暑さは残っているのに、心には一足早く秋風が吹く。
政界にも秋風である。秋の臨時国会は九月後半の召集で調整されているが、現在、期日はまだ確定していない。最大の焦点は、来年四月から二年間、飲食料品の消費税率を八%から一%へ引き下げる法案と、その財源であろう。
私の立場は明確である。消費税減税には反対だ。消費税は広く薄く負担する、比較的公平な税である。税を見直すなら、所得税、住民税、法人税、相続税、固定資産税、自動車税、ガソリン税、酒税、たばこ税、印紙税など、暮らしと仕事の隅々に張り巡らされた税制全体にメスを入れるべきだ。社会保険料まで加えれば、国民の負担感はなお重い。
しかし、財務省と歩調を合わせ、増税を重ねてきた自民党政権に、それができるのか。物価高とインフレに押され、高市政権が食品消費税の減税を掲げたのは、いささか奇異に映る。
本来、「景気を冷やしているのは消費税だ。廃止せよ」と叫んできたのは野党ではなかったか。そのお株を与党に奪われ、政策の根幹まで揺らいだ。野党低迷の根本原因は、ここにある。
さらに、立憲民主党、中道改革連合、公明党の合流構想も流れた。なんと緊張感のない話か。立憲と国民民主はもともと同根。そこへ自民党に三行半を突きつけた公明と「野合」とまで揶揄された中道がある。この四勢力が小異を捨てて大道につかなければ、自民・官僚一体の政治に対抗できないことは、誰の目にも明らかだ。
ところが彼らは、国家より党、党より派閥、国民より自分の議席である。人間学的に言えば、志より保身、使命より損得を選んでいる。偏狭で身勝手と言わざるを得ない。連合もまた、本来の使命である働く人の生活と賃金を守ることより、政党間の綱引きに首を突っ込み、自民党にいいようにあしらわれてきた。その責任は重い。
「総選挙は当分ない。来春の統一地方選までに何とかすればよい」。そんな弛緩があるのなら、国民はとっくに見透かしている。惨敗してから慌てても遅い。吹き始めた秋風は、やがて旧来野党を吹き飛ばすだろう。
その跡から、第四次産業革命を背負う「チームみらい」のような新党や、地域から首長を握る新たな政治勢力が伸びてくるのかもしれない。古い野党が支部五裂し、縮小する。それもまた、政治の新陳代謝である。
秋風は涼しい。だが、志を失った政治家に吹く風は、冷たい。Goto


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