デジタル社会、AI時代である。電力各社は怯まず、原発を推進せよ。
AIは万能ではない。人間の知恵や情、責任まで代われるものではない。しかし、人類の歴史を大きく変える新たな文明を生み出す産業革命であることは、もはや疑いようがない。
蒸気機関が第一の産業革命を起こした。電力が夜を明るくし、大量生産を可能にした第二次産業革命。コンピューターと通信網が社会をつないだ第三次の情報革命。そして今、人工頭脳が第四次産業革命を、恐ろしいほどの速度で世界に広げている。
こんな言葉を聞いた。
「電気がなければ、パソコンもスマホも、ただの箱である」
まさに、その通りだ。AIがいかに進化しようとも、データセンターがいかに増えようとも、安定して流れる電気がなければ何ひとつ動かない。情報革命もAI革命も、電力という土台の上にしか立てないのである。
中部電力・浜岡原発の地震動評価をめぐる不適切事案は、誠に重い。外部調査委員会は、社内の論理を優先する「独自の正当化理論」、早期再稼働を意識した経営層の発言、組織の牽制機能不全を厳しく指摘した。中部電力は会長、社長の辞任と、3、4号機の再稼働審査申請の取り下げを決めた。
安全に関わるデータを都合よく扱うことは、いかなる理由でも許されない。原子力を扱う企業は、社会から「安全を預かる」存在である。その信頼を失えば、技術も設備も数字の上の話に堕する。
だからこそ、ここで問うべきは「原発をやめるか、続けるか」という単純な二者択一ではない。(朝日も毎日もそんな論調だ)安全を最優先にしながら、いかにして安価で安定した電力を大量に国民と産業へ届けるか。その現実的な答えを持つことである。
日本の産業用電気料金は、米国の約二倍前後、韓国・中国よりも高く、インドとの差はさらに大きい。米国の大口産業用は一キロワット時当たり十数円、中国やインドも十円台が中心であるのに、日本は二十円台半ばから三十円近い水準になることがある。家庭用では欧州のドイツや英国の方が高い国もある。しかし、世界の工場、AI拠点、半導体工場を誘致し、国際競争を戦ううえで問われるのは産業用電力の価格である。
このまま高い電力を使い続けるなら、製造業もデータセンターも海外へ流れる。賃金を上げよ、国内投資を増やせ、AIで生産性を上げよと言いながら、その基礎である電力を高値のまま放置する。これでは国家として筋が通らない。
再生可能エネルギーは大いに育てるべきだ。省エネも送電網強化も必要である。しかし、天候に左右されず、長期に大量の電力を供給できる原子力まで手放すことは、日本の資源事情を考えれば現実的ではない。安全確認を尽くした原発の再稼働、そして次世代革新炉への挑戦は、脱炭素、エネルギー安全保障、産業競争力を同時に支える国家戦略である。
「絶対安全」という言葉を私は信じない。絶対に確かなことは、人は必ず死ぬということだけである。だからこそ人間は、慢心せず、最悪を想定し、幾重にも備え、失敗を隠さず改める。この不断の努力こそが、安全を高める。
電力会社のトップに必要なのは、再稼働を急ぐことではない。現場の不都合な声を聞く勇気であり、都合の悪い報告ほど自らの机に上げさせる度量である。部下に恐れを抱かせる経営者は、必ず組織から真実を遠ざける。異論を歓迎し、地域の不安に正面から向き合い、誤りがあれば自ら認めて改める。そこに、人間としての器量が現れる。
中部電力をはじめ電力各社よ。萎縮してはならない。しかし、驕ってもならない。安全と誠実を根に据え、安価で良質な電力を大量に供給する使命を果たしてほしい。
電気なくして、AIも産業も、豊かな暮らしもない。日本の未来を灯す覚悟を、いまこそ示す時である。Goto


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