県民のためにしがらみを断ち切って県政を。
沖縄県知事選で、42歳の古謝玄太氏が42万票を超える支持を集め、玉城デニー氏を大差で破り初当選した。沖縄の本土復帰後に生まれた世代から、初めて知事が誕生したことになる。
まずは県民の負託を受けた新知事に、心からお祝いを申し上げたい。
選挙結果を、単純に「基地容認が勝ち、反基地が負けた」と片付けてはならない。物価高、雇用、子育て、所得、観光、離島振興。県民の暮らしには待ったなしの課題がある。政治に求められるのは、理念を声高に唱えることだけではない。現実を直視し、今日を生きる人々の不安を減らし、明日の希望を具体的につくることである。
戦後81年、本土復帰から54年。危険な普天間飛行場の返還を実現するため、辺野古移設で日米が合意してからも30年が経つ。「沖縄から米軍基地をなくせ」と訴える気持ちは理解できる。しかし、理想だけで飛行場の危険は除けない。政治とは、理想と現実の狭間で、最も責任ある答えを出す営みである。
古謝新知事には、辺野古問題をいたずらに対立の道具にせず、普天間飛行場の全面返還を確かなものにしてもらいたい。国と知事は返還の時期を明確にし、その跡地をどう活用し、どんな雇用と産業を生むのか、少なくとも十年先を見通すロードマップを県民に示すべきである。返還後の跡地が、沖縄の若者が働き、学び、起業し、家庭を築く希望の地になる。そこまで描いて初めて政策と呼べる。
高市政権も、沖縄振興予算を単なる配分の数字にしてはならない。三千億円規模を視野に入れるなら、使途をゼロベースで見直し、若い世代が実感できる投資へ振り向けるべきだ。観光の質の向上、DX、先端医療、農水産業、離島物流、教育、人材育成。沖縄の強みを伸ばし、自立した経済をつくる予算に変えねばならない。
ただし、私は一つ危惧している。知事が代われば、周囲の古いしがらみまで消えるわけではない。権力の周りには、利権を求めて群がる者、改革を嫌う者、若い知事を自分たちの都合で縛ろうとする者が現れる。新知事が「がんじがらめ」になり、身動きが取れなくなれば、県民の期待は裏切られる。
そこでこそ、新聞・メディアの出番である。反戦平和の旗を掲げるのは結構だ。しかし、過去の対立へ沖縄を引き戻すだけでは、県民の暮らしは良くならない。新知事を無批判に持ち上げるのでも、反基地一辺倒で縛るのでもない。予算は県民のために使われているか。既得権益が改革を妨げていないか。若者の希望につながっているか。厳しく、そして公平に監視してほしい。
人間も地域も、恨みや対立に縛られていては前へ進めない。歴史を忘れず、痛みを受け止め、それでも未来を選ぶ。その勇気こそ、沖縄に今求められている。古謝新知事には、県民のために、しがらみを断ち切る強いリーダーであってほしい。Goto


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