なぜ、社会貢献活動は会計評価基準の対象にならないのか?
中部地方、地銀各社の今期決算見通しが発表された。
大方が、下方修正。金融機関は経済の潤滑油。景気悪化の折、地域には不安が募る。
しかし、公表された内容を見ると、一つには東海地区の景気悪化による貸し出し企業の不良債権化懸念に対する過剰引き当てによるものと、株価低迷による保有株評価損によるものとで修正を余儀なくされている。理不尽だ。
政府は財政出動によって、内需拡大路線を走り始めたのに。当局(金融庁)は金融機関をより厳格に査定して、手かせ、足かせを強要している。これではまるで、自動車(社会)を壊すために、アクセルとブレーキを同時に踏むようなもの。どうもやることが、チグハグ。
株価の評価も、世界同時不況によるもの。別段、金融機関が保有する株を売却するわけでもない。会計処理上の問題。実際に株を売っての損が出たわけではない。
景気が回復して簿価よりも株価が上がれば収益になるのだから仕方がないのだが、本来の業績をさておいて、机上の評価で業績が修正されるのは、どうも頂けない。
その結果、地銀の地域経済の潤滑油としての役割や独自性、裁量幅が、制限されるとなると、悪循環以外の何ものでもない。社会不安を煽ってまでの国際会計基準に合わせることもなかろうがと思う。
地銀の頑張りの一つを紹介したい。
地元のOKバンクと呼ばれる、大垣共立銀行。
行員有志で平成8年「社会貢献推進委員会」(清水真弓委員長)を発足、小さな親切運動を展開している。その活動は、月々様々なテーマを設け、継続的に取り組まれている。
昨年の主な活動は、アルミ缶収集活動。能登半島地震義援金寄付。地元大垣の清掃活動。書籍・DVD・CDなど不用品拠出活動。ヒメコウホネの保護活動。普通救命講習会の開催。絵本の寄贈など。
実に丁寧に、まじめに取り組んでいる。素晴らしいことだ。
他行でも企業の社会的責任の一貫として多くのボランティア活動が展開されている。私の通勤路にある岐阜信用金庫の支店では、毎朝、全行員が、箒片手に、隣接の公園を掃除している。頭が下がる。
私が、取り分け、OKバンクの、この地道な社会貢献を、こりゃ本物だと思って取り上げるのは、
子供のいる会員から「幼稚園などで、清潔な雑巾が不足している」との声を聞きつけ、
早速に委員会メンバーが活動を開始。大垣市内49ヶ所の幼保園で使用する雑巾1900枚を手作り。「幼児達が健やかに育つようにと役だてて下さい」と大垣市にを寄贈した記事を目にしたからだ。
我社の生活情報誌(19誌)もそれぞれのエリアでのCSR活動を実施しているから、OKバンク社会貢献委員会の価値が良く分かる。その地道な努力に敬意を表す次第。
当局の地銀に対する厳格な査定も重要だろう。国際基準での会計処理も大切だろう。
しかし、地域に暮らすものとしては、地銀とメガバンクとを同じ評価基準で推し量るのが正しいとはとても思えない。
むしろ、地銀にしかできない、地域に溶け込み、地域社会に対して実施している地道で真摯な貢献活動なども数値化して、決算の中に織り込んでも良いのではないか。血の通った会計手法として?
手作り雑巾1900枚の寄贈は株価評価損の30%帳消しに当たるとか??とても無理な話だろうが。殺伐とした社会だからこそ、地銀の温かさを評価して欲しいと思う。
Goto
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