残心

公務員採用条件に武芸を必須に。
勝負の世界で、「下駄を履くまで分らない」ことがよくあります。
勝ったと思って安心したら、反撃を喰らって形勢が逆転するなど。
最近は、仕事でも「決定」した事項が、予算削減を理由に、簡単に覆る場合がよくあります。
不透明な時代。読み切れない時代ですから、計画の変更はやもう得ないのでしょうが・・・・・・。
現場は大変です。詰めが甘いからそうなるのだとか。契約書をしっかり交わさないからだとか。後付けで、叱責。でも相手がノーと言いだせば、如何ともし難いのが、サービス業の辛いところです。
毎日新聞の余録に掲載されていた一文です。
東京の総合周産期母子医療センターを備える病院が、産科医不足でセンターの指定を返上すると、都に申し入れたそうです。
理由は、労働基準監督署から受けた、夜間の医師の超過勤務の是正勧告に、医師の確保が出来ない。現医療体制を維持したままでの是正は不可能だと、判断したからとのこと。
労基署が法に則って勧告するのは当然ですが、労働にも様々あり、その価値観も違います。
それを、杓子定規に「問答無用」で、勧告すれば、事業そのものが成り立たなくなる場合があります。
この勧告は、センター指定返上を招き「角を矯めて牛を殺す」例えそのものです。
役人が職務を全うしても、それは仕事は遣ったが。不幸な結果を招いたことになります。
商売の世界でも、成約をキャンセルすれば、自己の利益は損なわれませんが。取引先には損害を与えます。長い目でみれば、信用を失墜すること。後で、しっぺ返しを喰らうことになりかねません。
武芸の作法の一つに、動作を終えた後でも、緊張を維持する心構え「残心(ざんしん)」があります。
勝負が付いても「決して油断」してはならない。との武芸の教えです。
最近、日本人の伝統文化、取り分け、武芸に対する意識や評価が低くなったと言われます。
几帳面で、勤勉な民族が、事後まで、物事をしっかり処理しなくなったのは、そのせいかもしれません。
私に武芸の才も経験がないのに、偉そうなことを言うのも、気が引けるのですが。
民間人はさて置き、責めて役人採用の条件に、武芸の心得を必須にしてはどうでしょうか。
伝統文化への関心も高まり「残心」の所作を身に付けた国民が増えるのではないでしょうか。
そうなれば、伝統文化も根付き。心構えのしっかりした民族に立ち返るのでは・・・・。
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