まくら

「う〜〜ん」何事にも・・・・コツがあるものですね。
私の先輩に、人前で話の上手い人がいる。本当に上手い。いつも感心させられる。
最初のワンフレーズで、聞いている人の心を掴んでしまう。
落語。出足のフレーズを「まくら」と言う。まくらは、話の内容を示唆すると同時に、客と芸人の間合いを計る重要な役目をする。通になると、まくらを聞いただけで噺家の能力が分かるらしい。
話の上手い先輩は、勿論、噺家でも芸人でも、政治家でもない。中小企業の親父さんだ。
「先輩は話が上手い。上手過ぎるといつも思うんですが?何かコツがありますかね〜」
「コツ?ないね。」「そんなことはないでしょう?教えて下さいよ。ないなら、あえてで、良いですから、もったいぶらずに」「う〜〜ん。あえてか?」「う〜〜ん。う〜〜ん。」「あえてなら、こんなことかな。」
「良く考えることだ。状況を。目の前にいる人は誰なんだ。何者なんだと。そして、その人に、話の本題を分かってもらうには、何を言えばよいのか。そこを考えることだ」
「もう一つは?」「前略だね。話す前に弁解しないことだよ。私は誰だとか。話が下手だとか。なぜ今から話さなければならないとか?ともかく、前置き言わないことだ。前置きは、聞いてる人に話すのではなく、自分を納得させてるだけ。聞く方にはどうでもよい。それを・・・ぐだぐだと。」
「そうですよね。いますよね。前置きばかり長くてうんざりする人が」なるほど。
「先輩。「じゃ〜。コツを教えてよ。って聞いた後、答えるまでの「う〜〜ん」は、前置きじゃなくて、落語のまくらなんですね?上手く話す技なんでしょう。さすがですね。そこまで計算されるとは。」
「う〜〜ん。それは、かいかぶりだな。」
大概の噺家。話すのが商売ですが。一番の苦手は、人前で話すことだそうです。
「ウソのような話ですが」。それを克服するために修行(よく考える)するが、噺家を磨くのだと。
何事もコツを学んで、努力しなければ、上手くならないんですね。
「う〜〜〜ん」 
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