民主主義と選挙

与党の政策をどのように、総括するのか?
衆院がやっと解散されました。このコラムで、何回、衆院を解散すべきだと書いたでしょうか。
でも、投票日まで、40日。百年に一度の金融危機。政局より政策。政治空白を作るべきでないと。
解散を迫る野党に、そんな説明で延ばしてきた与党。解散したんだから、いいじゃないか。そんな声も聞こえるが。準備が整うまでの時間なんだろうが、この時代、40日はあまりにも長いと思う。
マニフェストが出揃って、本格的な政権選択の議論が始まるのだろうが。
果たして、政権政党にマニフェストが必要なんだろうかと疑問だ。
なぜなら、欧米の民主主義国家の選挙は、与党の既存政策と野党のマニフェストとを戦わせるもので、与党が、新しいマニフェストを掲げるとするならば、与党の政策を与党が否定することになりはしないか?
そうなると、与党の実績の評価はだれが判断するのかが皆目わからなくなってしまう。たとえば、年金改革を与野党が重要課題としてマニフェストに掲げた場合。年金未払い事件の責任は、誰が取るのか?
日本では戦後一貫して自民党が政権の中枢にいたせいで、総選挙で過去の総括をする習慣がない。与野党が、「絵に書いた餅」で、ただ、選挙公約を羅列してきただけ。それで、良かったのだが。
私も大変な誤解をしていたのだが。民主主義は良い政府を実現するための方法ではない。むしろ、説明責任を導きだしたり、悪い政府を罰したりする方法なのだ。良くない政府は罰を受ける。
それが政権交代する意味であって、与野党のマニフェストを論じる場ではない。
民主主義下の選挙とは、本来そのようなものなのだ。いままで、そうならなかったのは、官僚主導の「官尊民卑」政治が一定の機能を果たしていたのと、国民の民主主義に対する未成熟さがそうさせていたからである。
選挙まで40日間。その政治空白が、国民に自民党政治の功罪を考えさせる時間であり、「民主主義」を醸造させるための時間であるとするならば、案外、適切な期間かもしれない。
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