富有柿

さもしい時代になったもんだ・・・・・・・。
さびしい話だが、どうしても書かずにはいられない。
我が古里、岐阜。取り立てて、名産、特産がない街でもある。
あえて言えば、名産は和傘に提灯。傘は、江戸時代、貧しい藩だった、岐阜市南部に位置する加納藩の藩士と喰いつめ浪人の内職が育んだ。卵型をした岐阜提灯は、今も祭り提灯として、市内の軒下に掲げられるが、盆提灯やインテリアとして、親しまれている。
特産といえば、枝豆ともりぐち大根ぐらいしか、無いのだが。岐阜市周辺の瑞穂市、本巣市で栽培される富有柿は有名。母親(85歳)の在所が、本巣市糸貫町の農家で、叔父が富有柿を栽培している。
毎年この時期になると、叔父が「大きく実った甘くて美味しい」富有柿を軽トラックに積んで、届けてくれる。それを母親が、自慢げにご近所に配るのが、我が家の年中行事の一つとなっている。
「桃栗三年。柿八年」。柿の栽培には長い年月と、手間がかかる。私は食べるだけで手伝ったことはないが、一粒、一粒に袋を掛け、害虫や不順な天候から守りながら手塩にかけて育てる話を聞くと、美味しさも倍増する。
その、富有柿を盗む。山形のサクランボ。新潟のこしひかり。が盗まれた話を聞いたことがあるが、岐阜の特産「富有柿」を盗む奴が現れたとい言う。(写真参照)
「今年は、日照時間が少なかったで・・・甘味がいまいちじゃわ」。古希を過ぎた叔父の優しい顔を思うと、許すことができない。何時から・・こんなにさもしい日本人が横行するようになったのだ・・・・・。
さびしい話ではないか。                            Goto
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11/2中日新聞        叔父が育てた富有柿

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