故 児玉清さんに捧ぐ

面白小説と豊かな市民生活・・・
もう・・・亡くなられて二カ月近くなりますね。俳優の児玉清さん。30年も司会を続けられたテレビのクイズ番組、余り観ることもなかったのですが・・・・何となく、理知的で大人の優しさと・・威厳を感じる人でした。文学部の独文科の出身だそうで、とても読書家としても有名でした。
そもそも私は、ダボハゼの様な・・何にでも食い付く・・・雑読で、良く言えば???幅広く如何なるジャンルの本にも興味を持つってことになるのでしょうが・・・実は何の脈絡もない・・場当たりで、最近などは、中学生までに読んでおきたい日本文学・・なんてモノに、iPadで凝っています。
でも普通は・・・日曜の新聞に掲載される本の紹介・読書コーナーから(全国紙も地方紙も日曜日の朝刊に掲載)・・・面白そうな本を選びます。(なぜ・・・何十年も日曜日の朝刊が・・本紹介にてきしているんでしょうかねぇ?日曜日の朝は・・・じっくり新聞を読むって・・・いつの時代のライフスタイルなんでしょうか?ライフスタイルとは関係なく・・新聞社の編集局が読者に・・無理矢理押し付けているのかも?
新聞情報ではありませんが・・・生命保険会社が真面目に・・・本を紹介する冊子を創っています。
通巻303号ですから・・・四半世紀以上毎月発行されています。素晴らしいことですね。感動します。その冊子の3月号に、児玉清さんが「私が薦める3冊」と題して・・・紹介してくれていました。
・・・・その中の2冊が、海外(スウェーデンとアメリカ)の面白小説でした。雑読の私は・・・学生時代にサマセットモームにはまりましたが・・・その後は、日本の小説(時代劇)が好きで、海外モノはまったく興味がありませんでした・・が・・・
児玉さんの紹介が・・・あまりにも見事と申しますか・・・・面白小説の生まれる背景には、経済活動が活発で、豊かな市民生活が営まれていると言う条件がある・・・昨今の北欧諸国は福祉国家として、経済的にも豊かで、教育の面もトップを走る・・・経済力に陰りを見せるアメリカの小説からは光が失われつつある・・・とのコメント。
その背景には・・・最近の日本小説・・・国力の衰えとともに・・・歓心が薄れる者が多い・・との、児玉流の批判があるようです。三冊目に彼が薦めているのは・・・ご存知、藤沢周平さんの「蝉しぐれ」でした。日本の高度成長期・・経済活動が最も盛んなころの作品ですね。
で、児玉さんのこんな面白い小説はこれまでに出会ったことが無い・・・の一文に興味を持ち・・・スウェーデンの「ミレニアム」(スティーグ・ラ―ソン著)を読んでみました。なるほど・・・格調高い面白さってこのことかも・・と読後感です。
推薦のもう一冊は・・・児玉さんが最も注目するアメリカの作家ジェフリー・ディーヴァーの「ロード・サイド・クロス」です。これはまだ購入してはいません。この冊子に推薦の本を寄せて・・数ヵ月後亡くなられてのです。
彼の真摯な人柄に敬意を表し追悼の意味も込め・・・・ジェフリーの本も読んでみようと思っています。それと・・・児玉さんの著書「寝ても覚めても本の虫」も合わせて・・・。本を読むってことは理知的で、大人の優しさと、威厳が身に付くのだと信じて・・・・・         Goto
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コメント

  1. レモンハート より:

    児玉清さんのブックレヴュー大好きでした。亡くなられたときは本当に悲しくてたまりませんでした。昔の宮本輝さんとの対談で出版界を憂うる心情をのべられてました。売れる小説といえばエンターテインメント、それもデフォルメされた漫画のキャラクターのような主人公。一回読んだらもうあとには何も残らないものばかりになってきた。近年はその風潮はさらに拍車がかかって、もう歯止めがきかなくなってしまった。出版社自体も、良質の文藝作品をじっくりと売っていこうとする余裕を失い品格もなければ、心に迫ってくる描写もないベストセラー作品ばかりに。今や、心や人生の糧としていくというスタイルの読書は瀕死の状態で、おそらくここ数年のうちに著名な出版社が倒産する事態が生じる可能性は高いといった内容でした。