児童文学に明日の地域経済を読み取る・・・
日本経済、景気は回復基調にありますが、あの当時・・・そうです。高度経済成長時代を知るモノとしては、あの当時とは一味も二味も違うと感じています。何が違うのか。うーむ。難しいのですが、若さがないと申しますか。上昇気流ようなギラギラしたモノがないんですね。
それを高齢化とか、成熟化と称するのも少し違う気がします。地方によってバラツキがあるのかも知れませんが。私の住む岐阜市、人口42万人の県都ですが、往時と何が変わったかと申しますと、この四半世紀で、中心市街地が衰退したってことでしょうか。
市街地の役割は、消費活動を促進する。出会いの場を演出する。趣味、娯楽を楽しむ。不揃いな意外性に触れる。ノスタルジア味わうなど、街の歴史や文化が漂い、人の息遣いが聞こえ、その匂いに人が引き寄せられるのが、市街地です。
しかし、新たに誕生した郊外型商業集積地は、その地域の必然として誕生した中心市街地とは異なり、消費者の心理を巧みに捉え、購買意欲を高めるためのあらゆる演出、企画が施された巨大な偽装市街地です。それが、便利で合理的、ネットや携帯、スマフォのモバイル世代には、使い勝手がいいのでしょう。
計算され尽くした街の賑わいには、残念ながら、人の幅とか深み、味わいが感じられず、そこには成熟もなければ、高齢者の居場所もありません。経済の根幹をなすのは個人消費です。新中心市街地には創造性がなく、画一的で幾何学的であることが、あの当時のギラギラした個人消費のうねりとは違う・・・それが往時との大きな違いではないでしょうか。
いや。なぜ、こんなことを考えるかと、申しますと。
岐阜市の中心市街地で一世風靡した「柳ヶ瀬」御多分に漏れず、すえた臭いのシャッター街になってしまいましたが。でも、柳ヶ瀬には柳ヶ瀬の歴史と役割がある。その価値とは何かをそこに暮らす子供たちの視点で丁寧に編み上げた・・児童文学が上梓され、読ませてもらいました。
著者は柳ヶ瀬で宝石商を営む岩田千里さん。タイトルは児童文学の最高峰・・・小川未明文学賞優秀賞受賞した作品「ひらけ、空」ー僕たちの柳ヶ瀬商街ーです。・・・3人の小学生が織りなす柳ヶ瀬物語・・・地方中心市街地の明日はあるのか・・・素敵な絵も魅力的です。Goto
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