世界遺産に思う

養蚕業こそ、日本の財産、誇りです。
素晴らしい新聞広告ですねぇ。これぞ「ザ・広告」だと思います。
何が素晴らしいかを検証して見ます。先ずは、この広告が日本中に喜びを与えた富岡の製糸場と絹産業遺産群がユネスコの世界遺産に登録されたことへの感謝が見事に表現されていること。
一級品の広告です。コピーには「一緒に過ごした時間を、誇りに思います。ありがとう」とあります。スポンサーの「片倉工業」は官営の製糸工場の払い下げを受け1935年から2005年まで、富岡製糸場民間最後のオーナーとしての思いが率直にこもっています。
「片倉工業」は操業を停止した1987年から18年間。西洋に追いつこうと「坂の上の雲」を求めた明治の人々の魂を残したい・・・との思いから、「売らない。貸さない。壊さない」を貫き、140年前の原型をとどめるために多額の費用をかけて保存に務めた結果・・・・世界遺産の登録に繋がったのです。
仄聞によりますと、保存コストは3名の職員を常駐させ、年間1億円をかけたそうで。広告の背景にスポンサーの「日本の歴史を伝える貴重な史跡を残す」との心意気とメセナ、誇り、そして安堵感を感じます。心に沁みる広告です。
私の住む岐阜市に養蚕会館があります。子供の頃、母の実家でも納屋から蚕の桑を喰む音が聞こえたモノです。養蚕は日本の農家を支え、同時に、「良質の生糸を輸出する」ことによって近代日本の礎を担いました。蚕糸会館はその名残です。
私の尊敬する友人が南米ブラジルで養蚕業を営んでいます。絹産業は決して、過去のものではありません。日本の養蚕技術は脈々と継承され、世界で花開いています。富岡製糸場の世界遺産をどんな思いで・・・彼の地から眺めているのか。この思いがいっぱい詰まった新聞広告をどんな思いで読んでくれるのか。いつの日か伺いたいものです。Goto
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6/23読売新聞            6/26日本経済新聞

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