縦の線に日本の美、日本人の深みを観ました。
モントリオール世界映画祭で、準グランプリを受賞した、
木村大作監督、岡田准一主演の「散り椿」を観ました。
黒澤映画が蘇った感があり、時代劇の再興になればと思いました。
花鳥風月、鳥は馬でしたが、それに雪を頂く立山連峯の景観、
丁寧に作りこまれた、武家の佇まい。セットがないオールロケなんでしょう。
日本美と申しますか、日本人の心がズシンと響く、美しさ落ち着いた作品でした。
原作は遅咲きの作家葉室麟さん。昨年の暮れに他界されその哀悼の意が滲んでいました。
映像全体に流れるのは真っ直ぐな「縦の線」です。
竹林と四季、闘いの場に登場する勇壮な杉林、語りの場面に割って入る柱、
そして主人公の真っ直ぐな気性、その妻の一途な思い。
「縦の線」って、一本では分断や区切りを意味するが何本も重ねると奥行きを増す。
岡田准一と西島秀俊が風に舞う椿の前で演じる殺陣。圧巻です。
楚々として演じる黒木華の秘めたる想いが色を添える。
今年の日本アカデミー賞は、この作品で決まりでしょう。
と、絶賛するのですが、気掛かりは一つ。
田舎のシネコンだからなのでしょうか。三分の一ほどの客席、
若い人は皆無、9割方が、高齢者だという現実。
日本映画の限界なのか、それとも時代劇が遠くなったのか。
若い人もぜひ「散り椿」映画館に足を運んで日本の四季を楽しんで下さい。Goto
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