立春大吉

「深は新なり」一つ一つを深く掘り下げられる四季を生きたい。
月日の経つのが早いこと速いこと、時計って、時を刻むスピードが、
人によって違うのではないのかと、疑いたくなるほどです。
まだ、正月の雑煮が、喉につかえているのに、もう2月です。
1月、私は何をしたのでしょうか。振り返る間もなく、時は過ぎ去ります。
先日、久しぶりに尊敬する方を訪ね謦咳の機会を賜りました。
傘寿を過ぎて尚、意気軒昂、自らを厳しく律しておられるその姿勢に、
改めて敬意を表するとともに、己の未熟さを再確認しました。
執務室に平積みの本から一冊。その本はビニールの袋に収められ、
外からゴムバンドで留めてありました。「これが人生の指南書だよ」と、
取り出された本は、丁寧に扱わねば、今にもバラバラになるような。
「裏表紙の裏、奥付の空白ページに、びっしりと日付が……
「この日付、この本を読んだ日だよ」その数120回。
「不思議だねぇ。何度読んでも新しい発見があるんだよ」
「この本に出会えたことが、私の人生の宝だよ」座右の書です。
「深は新なり、古壺新酒」そんな言葉があります。
感銘した一冊の本、何度も読み返すことによって、言葉の意味も、
行間もそして著者の洞察も、読んだその時々の自らの状況によって、
深まり、新たな気づき、味わいが湧き出てくる。本を古壺にするなら
読み返すことが「深は新なり」です。
私の人生で、心に響く本との出会いが数々ありました。
でも、本の綴じ糸が切れるまで、何度も何度も繰り返し読んだことはありません。
その方の周りに多くの人が集い、教えを乞うのは、一冊の本をそこまで、
深く読み込むことによって、古壺(人のことですが、失礼)を
日々磨いき続けておられるからだからと学びました。
ご多忙の日々、いつ本と向き合われるのですか。
朝3時半に起床、風呂を浴び、新聞を捲り、そして、5時ごろにはこの部屋に。
6時半には、関係者が尋ね、一日が始まりますと。その一・二時間ですね。
「日々新たなり」傘寿を過ぎて、この凛とした生き方。
今日は立春大吉です。
立春大吉とは、冬が去り春を迎える一年の始まりです。
かの方のように、一つことを深く突き詰めることによって、
新たな何かを掴む。走り去る凄まじい時の流れに翻弄されることなく、
「深は新なり」を実践したいと決意新たです。Goto

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