見返り美人

県域を超えて、大都市との共存共栄を図る隣地の市町村。
もう随分前になりますので、錆びついてしまったのではと思っていましたが、
どうもそうではないようです。15年ほど前です。
ふるさと岐阜市を活性化するにはどうしたら良いのか、熱い議論を交わしたことが。
ことの発端は、民間出身の市長、二期目を迎える時です。
岐阜市は県庁所在地ですが、JRで名古屋駅まで18分です。
意外に知られていませんが、42万人の岐阜市民、8万人近くが名古屋圏へ
通勤、通学しています。
その議論のひとつに、大都市名古屋の居住空間としての岐阜を考えてはどうか。
岐阜は「山紫水明」人情豊かで、教育水準も高く、安全な街です。
大阪の京都、神戸の芦屋、東京の田園調布のような高級住宅街に。
その総称として「名古屋が振り返る街岐阜」として浮世絵師、菱川師宣の
代表作「見返り美人の図」をモチーフにしてみてはと……そんな発想の議論でした。
私は、大都市名古屋が隣接する岐阜市にとっての生きる道としてはありだと、
今でも思っていますが、結局は、市長選に主だった対立候補がなく、
ご本人の情熱も中途半端、そんなこんなで、「沙汰止み」お蔵入りになりました。
東北の話です。山形市と東北の雄、仙台市とは県境を挟んで隣接。
高速道路が整備され両都市間はバスで1時間。通勤通学に約4000人が日々通っています。
経済規模は山形市が5分の1いや、10分の1ですが、仙山連携協定を結び、
資源を有効利用して、共同生活圏として発展する。地方創生のひとつです。
関西の話です。JR京都駅から大津駅まで電車で10分。
大津市が京都からの近さをアピールして、世界から京都に集う観光客を
大津へと足を運んでもらう。大津商工会議所と京都商工会議所が協議会発足、
まずは、京都と大津を結ぶ「琵琶湖疎水での定期通船」の運行から。人気上昇中です。
もう一題。佐賀市を訪れる観光客の15%は福岡から。佐賀市が福岡のメディアや
SNSを通じて発信力を強め誘致に躍起。金融機関が中心に「佐賀・福岡ビジネス交流会」を
発足、観光客のみならず、人材確保の協定を結ぶなど、両市の関係を深めているとか。
そうなんです。大都市圏周辺の市町村は、相互補完を強め、観光やビジネスをベースに
県域の枠を超え生き残りを掛けて、新たなことにチャレンジしています。
岐阜市も県都の拘りを捨てて、今一度、名古屋が「見返る美人」を模索するのも、
一考ではないかと思います。Goto

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