貿易赤字に思う

誰もがわかっていながら、何もしないって、怖くないですか。
何事にも一喜一憂しないで、堂々と生きたいものです。
切った張ったの世の中ですが、良いこともあれば上手くいかないこともあります。
昔から「お天道様と米の飯は付いて回る」と申します。
中国を中心とした世界景気の減速を色濃く反映したとか、
景気減速が進む欧州連合への輸出が減少に転じたとか
中国経済が緩やかに減速していることの影響とか、
日韓関係の緊張を背景に…などなど、お決まりの理由で、
財務省は2019年度の上半期、貿易統計によると
輸出額が38兆2千億円、前年同期比で5.3%減、貿易赤字となったと。
そりゃ、経済は相手のあることですし、生き物です。
黒字の時もあれば、赤字の時もある。ましてや、貿易は日本一国で
どれだけ努力しても上手く行くとは限りません。
そんなに、カッカしなさるな、とも言えますが。
本当にそうでしょうか。お決まりの理由を少し、掘り下げてみると、
輸出の減少で幅が大きいのは「電機・自動車の分野」とこれもお決まりです。
ということは、液晶ディスプレー基盤などの半導体製造装置と
輸送機関連のギアボックスのような基幹部品を中心に自動車部品の落ち込みが大幅で、
ハイブリッド車を中心に自動車は輸出が伸びたのに、穴を埋めきれなかった。
一方では、米国向けの輸出は5期連続で伸びている。となると、
日本の貿易収支は結局のところ、米国依存状態が何十年も続いたままということです。
となると、やはり、中国貿易への傾斜を強めるか。
それとも、新たな中核産業を育てるかが急務ではないでしょうか。
「そんなことは、誰もがわかっているわい」と仰るでしょうが。
実は誰もわかってはいないのだと私は思っています。
「国際収支」が赤字になれば、この国の繁栄は一瞬にして費えます。
その予兆が、収支の中心である貿易収支の常態的な赤字です。
であれば、政治的に中国寄りになればと思うのですが、それも相手任せです。
米国の従属国として、中国との関係を改善すれば良い。それなら政治的に可能です。
与党が、親中派の政治家を増やせばよい。岸田派にはその伝統が色濃く残っています。
経済と政治は別とするならば、日本には独自の文化的産業が育っています。
住宅産業など、中国を始め東南アジアの住宅事情を解消するのに最も適しています。
政治が積極的に輸出を奨励すれば、すそ野の広い産業ですから、
一気に基幹産業になると思います。他にもあります。
問題は、経営者が「井の中の蛙」になっていて、海外に打って出る「勇気」がないことです。
貿易収支の赤字に一喜一憂するつもりはありませんが。
長い目でみて。我が社も日本国内などと言っていないで、
メディアソフトを引っさげて、東南アジアにと思っています。Goto

コメント

  1. Goto より:

    コメントありがとうございます。
    卓越した見識にはいつもながら感服致します。
    米中の貿易戦争は正におっしゃる通り、中国の儲け過ぎが発端です。でも、理想と現実の狭間に翻弄されてはいけないと思います。
    「衣食足りて礼節を知る」であります。
    Goto

  2. ナガラ より:

    理想論かも知れませんが、国際収支はプラスマイナス?0?であるべきです。日本は貿易外収支、つまり、投資の分野で世界一の資本供給国として大幅な黒字。それが会長の危惧される、貿易収支の赤字を補っています。国際収支は日本だけ稼げばいいと云うわけでなく、日本が黒字を出せば他のどこかの国が赤字になり、その国の経済が滞る。その国が、しいては日本に悪影響を及ぼす。そんな相関関係を考えないと、かっての?エコノミックアニマル・ジャパン?を呼び戻すことになります。今後の貿易収支の改善も、私は日本の独自の文化の中にヒントが数多くあるように思っています。その発露は、インバウンドの急激な増加・ラグビーW杯・東京オリンピックなどで垣間見れることになるのではと、期待しているのです。