白と黒

名古屋名物「ういろう」の想い出です。
子どもの頃の話です。お彼岸になりますと、岐阜・西本願寺沿道に市が立ちました。
自宅から歩いて15分程度、中日は学校も休み、悪友たちと連れだち遊びに行ったものです。
その一角に和菓子屋さんがあり、ガラスケースに名物の「ういろう」が並びます。
「白と黒」の二種類あり、黒は黒糖が加味され、オーソドックな白より、
黒糖の独特の味が。形は厚さが2.5センチほどで12センチほどの正方形。
それが斜めに切られ三角形で売られます。
大好きな「ういろう」です。店先で悩むのは、握りしめた小銭では
一つしか買えません。白にしようか、黒にしようか。
「うぅーん」と唸って、大概は「黒」を求めるのですが。
食べ終わっていつも思うのは、やっぱり「白」にすればよかったとの後悔です。
あるとき、やっぱりが頭から離れず、学校帰りに回り道をして、そのお店へ。
どうしたことでしょう。「白」が売り切れで「黒」しかないのです。
人間っていう奴は、そんなことが、トラウマになっているのでしょうか。
「ういろう」と聞けば、いつも、あの店先に「白ういろう」がなかったことを思い出します。
「ういろう」は岐阜の名物だと思っていたのですが。今では「名古屋名物」の定番。
どこで、そうなったのかと申しますとラジオCMです。名古屋の老舗メーカーが
早口言葉のように「白・黒・抹茶・あずき・コーヒー・ゆず・桜」と「ういろう」の種類を
「色」で表現したCMを流してました。コーヒーはわかりますね茶色、ゆずは黄色、
桜はピンクですね。ローカル放送のCMです。
私だけではありません。東海地区の同世代は「ういろう」といえば、
誰もがこの7種類の「色」が浮かびます。それと、二つの老舗が、
ライバルとなって、今でもですが。競い合っているから名古屋名物になったと思います。
「ういろう」名前の由来は万能薬「外郎(ういろう)薬」からによります。
最初は中国から福岡に伝わり全国に散り、京都、小田原、山口、徳島なども
銘菓として今も販売されています。最近流行りの「トリセツ」で知ったのですが、
「ういろう」といえば名古屋となったのは、CMではない。新幹線だとのこと。
1964・東京五輪で新幹線が開通、元々は名古屋駅構内で立ち売りしていたのを、
開通を機に車内販売に切り替えたことで「名古屋名物」のイメージが広がり、
「全国区」になったとか。
へぇーって話ですが。海外に暮らす古い友人、彼も同世代です。
「ういろう」が大好き。帰国するので、岐阜に立ち寄ると連絡が。
お土産に「名古屋高島屋」で「黒と白」が格子状に詰まった「ういろう」を
お土産にと買い求め、心待ちにしていたら、
あれあれ、「コロナ」せいで、帰国がお預けに。さて、どうしたものか。
仕方がない、自分でいただくかと封を切って「白と黒(茶ですが)」を眺めていて、
「白」のういろうを食べそこなった、あの日が。食べ物の恨みって恐ろしい。
でもです。「ういろう」って高級な菓子ではないが、美味しいです。Goto

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