3・11

遺産はモノではない。心に残すものです。
7回目になるんだ。ご存知でしたか。
「新聞命(しんぶんいのち)」の私ですが、
こんな素晴らしい賞があるなんて気が付きませんでした。
来年は応募してみようかな、なんて思いました。
賞は「わたし遺産」といいます。
ー「わたしが綴る、未来に伝える物語」ーそんなサブタイトルがついています。
目的は未来に伝えたい遺産「ヒト・モノ・コト」を400文字で綴る物語です。
主催は三井住友信託銀行、後援:TBSラジオ、協力:朝日新聞。
第7回目には「7,239作品」の応募がありました。
主催者から理解できるのは金融機関の「遺産」管理はお任せ下さいとのメッセージです。
質の高い企業広告ってことですが、「遺産」をモノとしてだけ捉えるのではなく
「心の財産」も「遺産」だとする考え方が素晴らしいです。
大賞の3作品。400文字に収めるのはなかなか大変ですが、
いずれも、キラキラと輝く遺産です。
「竹の中の蜂蜜」
子どもの頃「竹の節には蜂蜜がたっぷり詰まっているらしい」
そんな話を仕入れたわたしが、友達を誘って竹林へ。結果はご存知の通りですが、
現代はどんなことでもスマホでわかる。でも「当時のあのトキメキは今も心に」。
「たからものさん」
キャリアウーマン、生まれた子どもに「君はママのたからものさん」と声を掛け、
抱きしめて3人を育てた。責任ある地位となり子育てと仕事に奔走してきた。
でも仕事に行き詰まり眠れぬ日が続いたとき。
子どもたちが「ママは僕たちのたからものさん」と声を掛け代わる代わるママを
抱きしめてくれた。子どもたちを安心させる言葉が「私を安心」させてくれた。
「忘れられた歩道橋」
数メートルほどの道幅だが、交通量が多い。
そこに古びた歩道橋がぽつんと寂しげに架かっている。
行き交う車の間隙を縫えば数秒で渡れる。なぜ、ここに歩道橋が。
もう50年も昔になる。
下校途中の小学生が信号のないこの道路を駆け抜けようとした時に事故が起きたからだ。
亡くなった母は「この歩道橋は女の子が架けててくれたんだよ」といつも利用していた。
今日は3月11日です。あの日です。
テレビ画面が、次々と押し寄せる津波のシーンを映す。
ただ黙って見ていた。1万5千人の尊い命が一瞬にして飲み込まれるのを。
あの記憶を消し去ることはできない。
全ての日本人は思った。自分に何ができるか。被災者のためにどう寄り添えば良いのか。
何かをせねばならないと、ある人は寄付を。ある人はボランティアを。
そしてある人は祈りを捧げた。
負の遺産かも知れないが、3・11は「私たちが忘れてはいけない」
大切な「心の遺産」です。Goto

コメント