独創的な高付加価値商品は世界に通用します。
時代の趨勢は激しい。斜陽産業がどう生き残るか。考えさせられる産業が。
文具の話です。鉛筆。30年前は国内で生産される本数は8億4千万本でした。
2018年では3分の1。2億700万本になりました。
理由は二つ、一つは少子化でヘビーユーザーである小・中学生が4割減ったこと。
もう一つはネット社会です。ペーパーレスになり職場での鉛筆消費量が激減したからです。
国内の文具事務用品市場は出荷額ベースで4576億円(18年度)2年連続マイナス成長です。
今後、タブレットの文具化や少子高齢化・人口減少を見据えると、
国内市場で右肩が上がることは想像し難い状況です。そうです。斜陽産業ってことです。
となりますと。縮小するか他の分野への進出ってことになりますが。
日本の文具メーカーは斜陽を跳ね返しています。
もちろん、海外に活路を見出すってことですが。その本質は日本独自の商品開発にあります。
文具産業、日本では群雄割拠、有能なメーカーがひしめき合っています。
その結果、海外では使われないだろう「ガラパゴス化」した商品が誕生しています。
例えば、「罫線にドット」が入ったノート。芯が尖り続けるシャープペンシル。
角が多くて細かい部分も消しやすい消しゴム。カラフルな筆記用具などは
「文具女の子」のステータス。日本独特の文具です。
日本メーカーのスグレモノを紹介します。
高機能に至っては無重力でも書ける「ペんてる」のサインペンは米航空宇宙局でも
採用されました。また、パイロットが開発した書いた文字をペンの後ろでこすると
消えるボールペン「フリクションボールペン」は温度によって色が変わる
特殊なインクを30年に及ぶ研究成果で作りあげました。
欧州では、学生は万年筆やボールペンを授業で用いるのが一般的で、
筆記用・消去用・上書き用の3種類が必要だったのですが、この「フリクション」一本で、
三役をこなす。欧州で爆発的なヒット。「ヨーロッパの授業風景を変えた」とも。
(読売・ニュースの門)
三菱鉛筆が開発した「ジェットストリーム」は油性インクを
用いながらも滑らかな書き味で、字画の多い漢字に適応、中国を中心に
世界で1億本以上を販売されているビッグな「日の丸文具」です。
国内でメーカーがしのぎを削り、高機能化し海外で相手にされなくなり
ガラパゴス化したのは携帯電話やシロモノ家電ですが、合理性を追求して
ダースいくらの安物ボールペンなどが、主力の海外では、
ここまで利便性をとことん追求する日本の文具は新鮮な商品に写っているようです。
文具産業は斜陽です。でも、それは国内の話です。
イノベーションとアイデアを駆使して高付加価値商品を開発すれば、
世界キャンバスに新たな地図を描くことができることを証明しています。
「ガラパゴス化」でなぜ悪い。そう思いませんか。
そうなんです。この世に斜陽産業なんてものはないのです。
なんだか「コロナ騒動」で縮こまっているのがバカバカしくなりませんか。
このピンチって「独創的な高付加価値の商品」を考える「チャンス」ではないでしょうか。Goto
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