田の神様

人はどんな生き方をすべきなのでしょうか。チョウに聞いてみたい。
日本人は農耕民族です。田んぼには神様が宿るといわれます。
稲刈りが終わると山に戻り「山の神様」になりますが
春めいてきますと、ボチボチ出番だと山からお出ましになります。
「田の神様」は稲の成長を見守り、実りを手助けしてくださると信じられています。
関東以北では、神さまの恵みである米粉で団子を作って供え、五穀豊穣を願うそうです。
この地方ではあぜ道にあるお地蔵様を田の神様として崇めます。
3月の中旬になりますと、七十二侯「葉虫蝶と化す」で、
サナギのなかで冬を越した蝶の幼虫が羽化し、春の花々の間を優雅に舞い始めます。
因みに「葉虫」とは、大根や白菜などの葉っぱを食べる虫のことです。
早朝のウォーキングでも、葉虫の代表格「モンシロチョウ」が春風に乗って
ヒラヒラと飛び交う様には思わず「今年も田の神様が蝶をお供に
山から下りてこられた」いよいよ田づくりが始まると感動します。
「田の神様」は無事に稲刈りが終わるまで農耕を見守ってくださいます。
今日はチョウの話です。
昆虫の蒐集家といえば、養老孟司先生ですね。
先生の古い友人に昨年、アフガニスタンで殺された中村哲医師が。
中村先生は登山が好きでチョウが好きだったそうです。
モンシロチョウは世界各地に点在します。
祖先がパキスタンにいるかもしれないと、医者として赴任。やがて活動する範囲が
山岳地帯や隣国のアフガニスタンから来た難民キャンプへと広がります。
政治情勢が不安定なため住む土地を離れてた難民が100万人。
中村医師は畑があれば人々は生きていけるとお金を集めて用水路を作りました。
それなのに、中村さんは殺されました。養老先生は中村先生のことを
「なぜ殺されたか私もわかりません」「その土地の人のことを真剣に考えて手伝った」
「人間社会は難しくて、良いことをしても殺される場合があります」
「中村さんは自分はいずれ殺されると知っていました」「自分でそう言っていたから」と
話しておられます。
人が本当に役立つってことは、どんなことか。
中村先生のような生き方も一つではないでしょうか。
多分ですが、用水路ができて緑に変わったアフガニスタンの平原を
「田の神様」となった中村先生が見守っておられるのではないでしょうか
そして、その周りを先生が好きだったチョウが飛び交っているかも知れません。Goto

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