雇用・生活不安のコロナ嵐の中で、日本郵政グループ1万人削減案に物申す。
私のいちばん嫌いな言葉は「合理化」です。
如何にも論理的に聞こえますが、「人間味」や「温かみ」を感じない言葉です。
経営用語で使われる場合は経費削減を意味し、究極は人員の整理である「リストラ」です。
日本郵政グループの従業員数は21万5412人(18年度末)です。
07年に民営化されたが、13年に労使合意で配置基準を設け、
総数はこの基準に沿って採用や希望退職で調整されてきました。
よって、従業員数に大きな変化はありません。
ここにきて、金融2社の収益力が急激に落ち込み始めました。加えて、かんぽ生命保険が
不適切販売問題を抱え、19年の夏から金融商品の営業を自粛しています。
稼ぎ頭の2社の収益が悪化しています。となると、「コスト削減」つまり合理化。
ご多聞に漏れず「リストラ」することになりました。
郵政グループ4社の9割、19万2889人は「日本郵政」の社員。
手紙やハガキはメールに代わるご時世です。デジタル化や人口減少で窓口に来る
顧客も大きく減っているなど理由は色々ありますが、まずは時代のニーズに
合わなくなった「日本郵政」社員1万人を削減しようという案が急浮上してきました。
ひと昔前なら、郵便局の労働組合「全逓」が黙っちゃいないのでしょうが、
今は「闘争」という言葉などない時代です。
人員の配置基準に関する協議に応じるそうですから時代は変わったということでしょうか。
余談ですが。1985年に民営化された「NTTグループ」は20年間で、3分の1にあたる
10万人を削減したのに比べると、この間の郵政経営者は何をやっていたのかと、
問われても致し方ない。それと、15年に新たな収益として豪州流通大手を4000億円で
買収したが失敗。減損を計上、しかしその責任を誰も取っていないなど、
とてもじゃないが、民営化された郵政グループを切り盛りできる経営陣を
配置してこなかった政府にも責任があるのではないでしょうか。
そのことを棚上げしたままの「合理化」すなわち「リストラ」には懐疑的です。
少なくとも日本最大級の物流部隊を持つ「日本郵政」です。他の物流企業と比べて
人材的にも遜色があるとは思えない。足らないとすれば、「親方日の丸」意識が抜けないのと
「強力なリーダーシップ」を持った経営者がいないからです。
私は思うのです。現経営陣、粋がって合理化の究極「リストラ」を語るのも良いでしょうが、
「このままでは郵政の全国一律サービスが立ち行かない」ことを大義にしてのリストラでは
あまりにも策が無さすぎませんか。
民主党政権下でJALの立ち直りに稲盛和夫氏を引っ張り出したように、
在野には「哲理」を持ったカリスマ経営者がいます。そんな人材を発掘するのは、
政府の仕事ではないでしょうか。
それと、今日本中に吹き荒れる「コロナの嵐」は、国民を雇用不安に陥れています。
そんな最中に「日本郵政グループ」が1万人の「リストラ」を発表するなんて、
如何にもノー天気な経営陣ではないでしょうか。Goto
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