黄禍論

いつの世も人類は肌の色や民族の違いで差別するモノです。
米国では1882年「中国人移民排訴法」が制定されました。
1976年、サンフランシスコで天然痘が流行、市の公衆衛生局はチャイナタウンが
「疫病の中心地」だと非難・・・アメリカ社会へ溶け込もうとせず独自のタウンを形成する
中国系への差別意識が背景でした。
中国人の移民を禁止し、既に入国している中国人がアメリカ国籍を取得することを
禁止したのです。その後、アメリカに移民としてやってきたのが日本人でした。
当初は日本人を受け入れましたが、日露戦争でロシアに勝つと「白人国家を
黄色人種が脅かす」との黄禍論がアメリカを席巻・・・その結果1924年、
米国議会は「排日移民法」を成立させます。日本人を差別する法律です。
アメリカでアジア系の人たちを標的とした襲撃事件が相次いでいます。
ロサンゼルスに住む私の友人もひとりで街を歩くのは危険だと・・・
複数で移動するようにしていると言います。
原因はトランプ前大統領がコロナウイルスを「チャイナ・ウイルス」と呼んで
非難したことが引き金で、経済も含めて中国への敵意を煽ったからだと言われています。
黄禍論は米国に始まったことではありません。
19世紀から20世紀にかけヨーロッパ各国に脅威論が起こります。
古くはモンゴル帝国の東方系民族の侵攻に苦しめられた白人が黄色人種を
モンゴロイドと称しました。ヨーロッパ各国は「諸君に最も神聖な宝を守れ」と
対峙したのが黄禍論の始まりと言われます。
日本では明治の思想家・岡倉天心が黄禍論の本質を喝破しました。
White Disaster(白禍)と称して「軍隊とキリスト教宣教活動を使って
西洋の帝国主義を他国の生活文化を侵食している」と・・・
アメリカでアジア系が襲撃されています。
何とかしたいのですが・・・どうすることもできない。
どんな時代にあっても、肌の色や民族の違いで人が人を差別し征服しようとする。
その実態は時を経っても変わらない・・・人間が愚かであるってことでしょうか。Goto

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