NYT(ニューヨークタイムズ)が新聞の常識を超えた・・・
この報道を吉報と読み取るのか、他国の話と突き放すのか。
それは自由ですが、新聞命(しんぶんいのち)の私としては・・・感慨深いものがあります。
報道とは米新聞大手であるニューヨークタイムズ社が21年12月期決算を発表。
通期売上が前年比16.3%増、約10年ぶりに20億ドルを超え、
純利益は前年の2倍超、2.19億ドルになり、そして、デジタル版の総契約数が
1千万件を超えたニュースです。
この内、ニュースのデジタル契約数は586.7万件、前年より73.5万件増えたが
増加率は前年の半分以下だったとのこと。そもそもですがNYTは米国ニューヨーク地方の
ローカル紙です。発行部数も最盛期で70万部。デジタル化以前は40万部を維持するのにやっとと
苦戦がつづいていました。それが586.7万件の有料会員・読者が付いたのです。
凄くないですか。日本の新聞社は軒並み購読者の減少に歯止めが効きません。
デジタル版にも力を入れていますが、日経新聞が紙との併用が条件で、
30万件に届いていません。全国紙では朝日Web版の契約数は数える程です。
米国とは言え、名門NYTがデジタル版で復活したのですから・・・凄いことです。
どうして、ニュースのデジタル版の契約数が586万件を超えたのでしょうか。
総契約数が1000万を突破したのでしょうか。考えて見たいと思います。
一年前と比べ、増加率が半分以下になった。
この6年間でデジタル版の伸び率は200倍です。
この期の伸びが前年の半分以下で73.5万件の増加です。
一般的に考えれば、信じられない伸び率です。でも伸び率半分に鈍化した。
ここに答えがあります。トランプ前大統領です。トランプはSNSを駆使して
政権を運営してきました。24時間、時を選ばずツイッターを更新しました。
NYTはトランプにも共和党にも否定的な新聞です。
トランプの発信に翌日の新聞で反論を加えているうちに、
トランプは既に次の情報を発信しています。それでは間に合わないと申しますか、
付いて行けません。それに対抗するには即時反論できるSNS、デジタル版です。
そうなのです。NYTのニュースデジタル版の契約数を激増させたのは
皮肉にもトランプ大統領なのです。それが、デジタル版の契約数を増やした要因です。
昨年の半分しか契約が増えなかったのはバイデンに大統領が代わったからです。
もう一つは歴代続いた、新聞記者出身の経営者を廃して、IT企業から優秀な人材をトップに登用したことです。メレディス・コビット・レビアン最高経営責任者は英国のIT企業出身40代の女性です。彼女は新聞の常識を全てひっくり返し、IT ・デジタルの常識で、新聞社の経営をしています。ですから、ニュースに拘りません。1000万件、ニュース版の残りの400万件は
新聞社では発想すら浮かばい、料理のレシピやゲームに限った契約です。
それに新たに買収したスポーツサイトの契約数も加わって、1000万件です。
それが二つ目の要因です。経営は安定しました。
日本の新聞経営者の大半は報道に拘り、ジャーナリズムに酔い、ジャーナリストを
心の何処かで自認しています。それはそれで日本的ですが、
読者がいてこそ、ジャーナリズムです。
NYTに学ぶことはないのか。日本の新聞社に問うてみたい。Goto
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