「都こんぶ」よりも「鯱こんぶ」の方が歴史があるんですって・・・
物心ついた時の話です。多分ですが、私の情緒の源はこれだったと思うのです。
親父殿が地元紙の新聞記者時代、単身赴任で東濃総局に勤務・・・週末には帰宅、
翌日曜には必ず映画を観に連れて行ってくれました。2年ほど続きました。
大概は柳ヶ瀬にある映画館(現在は高島屋岐阜)で観るのは東映の時代劇でした。
ですから、片岡千恵蔵とか市川右太衛門・嵐寛寿郎・長谷川一夫やや下がって、
中村錦之助・大川橋蔵などが主演する映画の大半は観ました。
当時は、若い人には想像もできないでしょうが・・・2本立ての3回興行、
日曜は超満員で立錐の余地もない。入れ替えはありませんので・・
クライマックスの時間帯に入場、劇場の後ろで待っていて、終わったら空席に座る。
そうなのです。いちばん良いところを2度観るってことになります。
映画館に入りますと、いつも親父殿が売店で買ってくれるのが「都こんぶ」・・
パッケージは緑の縁取り赤地、黒字で「都こんぶ」と印刷、中を開けると、
ビニールの袋に短冊型の昆布が10枚ほど。その味は忘れられない。
それを一枚ずつ剥がしてゆっくりと味わう・・・
ですから・・・今でも鍋の出汁に昆布が入っていると、
「この昆布は出汁」で捨てるモノだと言われても捨てがたい。
子どもの頃の出来事って変なところに残っているものです。
そんなたわいない話で名古屋の友人と盛り上がっていましたら・・・
酢こんぶといえば名古屋の名物だと。えっ・・大阪だろうと思っていた私。
彼曰く、「都こんぶ」は戦後に発売されたもの、名古屋の大須には創業100年を超える
昆布店がある・・創業時の看板には「鯱こんぶ」と書かれていたと。
私が疑ったからでしょう。友人は「名古屋汎太平洋平和博覧会」があった1937年の写真。
名古屋市電の車体に「鯱こんぶ」と広告が。37年には販売されていたのだと。
更に、彼曰く・・・オマエがこどもの頃、映画館で買った酢昆布は・・
色鮮やかな赤で白い文字で「鯱こんぶ」と名古屋城のしゃちほこの絵が
描いてあったのではと。そう言われると、赤字に緑の縁取りがあり黒字で
書かれていたのが怪しくなってきました。
だって、当時、60年代には国鉄の駅の売店や映画館で売られ、
愛知県のみならず、岐阜県内でも売られていたと聞けば、益々記憶が曖昧になる。
人の記憶など如何にいい加減かとは思うが・・・勧善懲悪の東映時代劇で育ったのは
間違いないと自分の性格を省みるのだが・・・
「鯱こんぶ」その製造法は今も昔も変わらないそうです。
北海道産の昆布を甘酢に1時間ほど漬け、10日間寝かし、その後縦6センチ、
幅1.5センチにカットし箱に詰めるのだそうです。
全てが手作り、加熱はせず、昆布本来の味をいかす薄味も昔と変わらない。
どっちがどうだったかは別として、名古屋名物の「鯱こんぶ」が廃れないよう・・
購入したいものです。Goto
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