「宮笠」

飛騨高山の伝統工芸品・民具を絶やさないのは我々の責任です。
一度訪ねてみたいと思いつつ・・今年も叶いませんでした。
1月24日に飛騨高山市で開かれる冬の風物詩「二十四日市」です。
一昨年はコロナで中止。去年は縮小して開催され、今年は通常の開催となりました。
「二十四日市」は明治以前は旧暦の12月24日に正月用品を売る「歳の市」として
開催されていましたが・・・明治以降は1月の24日に。飛騨の伝統工芸品店や
特産物店、飲食店がなどが軒を連ね・・・賑わいます。
そもそもの「二十四日市」は、農閑期の副業として、それぞれの農家で作られてきた日常品が
販売されたのが起源。中でも人気なのは「宮笠」です。高山祭の風景画などでご覧になった方も
あろうかと思います。山車を引く市井の人々が被っています。
今では伝統民具として販売されています。
宮笠の歴史は古く、天明3年(1783年)に飛騨の文人・津野倉州が著した「飛州産物狂歌集」に
飛騨各地の名物などを狂歌として歌っており、当時の飛騨の名物として知られていた
「一宮檜笠」として・・・「松の葉の 雨もらさぬは 唐のこと 檜は 日本一の 宮笠」と
歌われています。ですから、江戸時代中期には市井の人々が使用していました。
宮笠の材料は、ヒノキやイチイからつくる「笠ひで」と、竹から作る「骨竹」「縁竹」
「緒たて竹」で編まれます。作り方は直径三十〜四十センチになるヒノキを伐採して
2尺(60センチ)に玉切りし、鉋(今は機械)にかけて大根のかつらむきの要領で薄板を取り、
約6センチ幅に裁断して作ります。ヒノキの笠ひではヒノキ材が入手しやすく加工も容易な
ことから、大量に生産できるという長所がありました。
編み上げるのは手作業。今では・・・笠を編む技術は高山市の無形文化財に指定。
現在では材料の調達から加工・編み上げ・販売まで一貫して手がけるのは・・
高山市一之宮町で頑張る問坂義一(86)さん、長男・次男が継承されるのみです。
問坂さん方では・・・二十四日市のために宮笠作りの最盛期・・
ヒノキを編み上げた白い笠に、赤茶色のイチイでかたどったセミの飾りを編み込んだ
「蝉笠」やイチイとヒノキで編み上げた「紅白」など4種類が制作されています。
私も農作業に被ったのが「宮笠」だ・・程度の理解しかなかったのですが・・
笠の模様がセミになっていること。蝉笠には魔除けの効果があると言われ、
農作業中に落雷があっても蝉笠を被った人には落雷がないという言い伝えがあり、
玄関に飾る民家もあるとのこと、理解していませんでした。
飛騨の伝統工芸品を後世に残すこと。
とても重要です。二十四日市は訪れることができませんでしたが・・
飛騨高山には我が社の地域みっちゃく生活情報誌「SARUBOBO 」が発行され、
今月で323号を数えて飛騨人の生活に寄り添っています。
次回、仲間たちに会いに行く折には・・蝉笠を手に入れ・・・我が社の玄関に飾ろうかな。Goto

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