朝日新聞・高野裕介記者にボーン・上田賞・・・
米国のピューリッツァー賞をご存知ですね。
米国における新聞・雑誌・オンライン上の報道・文学・作曲の功績に対して受賞される賞です。
新聞・ニューヨークワールド紙で財を成したジョーゼフ・ピューリツァーの遺志により、
1917年に創設。現在はコロンビア大学・ジャーナリズム学部が運営しています。
ピューリツァーは「社会的不正義と当局の汚職の摘発こそが審査を貫き基準である」として
毎年21部門での受賞が行われますが、ジャーナリズムの公益部門における受賞者には
特別に金メダルが授与されます。(20部門の受賞者には賞状と15000ドルの賞金が贈られる)
日本でもピューリッツァー賞にならい、1950年・優れた報道で国際理解に貢献した記者に
ボーン・上田記念国際記者賞が贈られます。UPI通信社・マイルズ・ボーン副社長(当時)と
上田碩三・電通元社長を悼んでつくられました。現在は公益財団法人「新聞通信調査会」が運営
同賞・委員会が選考を担っています。
このほど、朝日新聞の高野裕介・イスタンブール支局長が2022年度「ボーン・上田
記念国際記者賞」を受賞しました。高野記者は昨年2月・ロシアのウクライナ侵略(朝日は
この戦争を侵攻と呼び侵略とは書きません)が始まる約1週間前に現地入り、今年の2月まで
4回、約5ヶ月に渡り現地で取材を重ねました。
親ロシア派との睨み合いが続く東部ドネスク州・前線から、紛争が現実であることを伝え、
侵略後、西部リビウ、東部ハルキウ州など35の市町村を訪ね、性暴力、拷問、住民殺害など
戦争犯罪の実態を浮き彫りに。デジタル版では「息子はどこに、ロシア軍に連れされた人々」を
連載・キーウの近郊の村から消えた青年の足取りを追跡。ロシア南部の「収容所」に
連れ去られたことを報じました。
受賞の講評は「凄惨な戦争の現場を取材し、ロシア軍の戦争犯罪の現実を伝えた。
『出色のルポ』と評価、取材対象と寄り添った迫力のある記事が印象に残った」とした。
高野記者、受賞の寄稿では「2/6・私が担当するトルコとシリアの大地震、頭部のない少女、
空き地に乱立する番号だけの墓標、多くの惨状を目にした」
「今回の受賞を知り、紛争地や被災地で、過酷な状況でも話を聞かせてくれた多くの人々の
顔が浮かんだ。託された言葉の一つひとつを、読者の方々に伝えていかねばと、
心を新たにした」「記者になって16年。市井の人々の声を直接聞くこと、変わらぬ姿勢です」
「私たち記者もオンラインで取材ができるようになった。でも現場に行き、可能な限り
顔を合わせて話を聞くことを心がけてきた。そうすることでしか、血の通った人間の顔や
声を伝えることができないと感じるからです」と語ります。
朝日新聞が、何度、高野記者に紛争の現場に行くことを危険だからと止めたことか、
今の朝日の事なかれ主義から・・想像は難くありません・・でも彼は現場主義に徹しなければ
読者に被害者の声は届かぬと何度も足を運んだのです。
それを「取材対象と寄り添った迫力ある記事が印象に残った」と選考委員に響いたのです。
新聞は・・・現場主義の記者魂を持った記者たちに支えられている限り滅びることはない。
新聞関係者も読者も電通も・・忘れないで欲しいと願います。Goto
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