いずれは「猿之助尊属殺人・心中事件」として・・・
歌舞伎って・・・なんでしょうかねぇ?
私の手元に2冊の本があります。一冊は日経新聞社出版の「夢見鳥」です。
平成30年7月・日経の文化面に掲載された歌舞伎役者・二代目・故中村吉右衛門さんを取り上げた「私の履歴書」の単行本です。
その本のあとがきで、吉右衛門さんはある画家に「絵描きは良いですね。作品がいつまでも残って。役者は当人が居なくなれば、存在すら忘れられてしまいます」と申し上げたら、「いや僕たちは、この作品は残したくないと思ってもやむを得ず、ずっと残ってしまう。消えていくあなた方は羨ましい」と言われましたと書いています。なるほど、私たちの方が、後世に責任がなくお気楽かも知れないと、その時は思いました。歌舞伎役者とは所詮、泡沫だと語っています。
もう一冊は、「木挽町のあだ討ち」(新潮社)永井沙耶子著です。
実に人間味が溢れる面白い小説です。ネタバレはなしです。どうぞ、お読みいただきたいと存じます。木挽町っていうのは江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶところです。
小説では・・・木挽町は世間の人たちにとって「悪所」と呼ばれていたと。
芝居も歌舞伎もルーツは河原乞食・見せ物・狂言です。だから悪所です。
芝居小屋に巣食う人たちも看板役者も世間の常識とズレがあるのは当然です。
歌舞伎役者4代目・市川猿之助さんが母親の自殺を幇助した罪で逮捕されました。父親の段四郎さんも同時に亡くなりました。自分自身も自殺したのですが、
死にきれなかったようです。この事件が今後どのような展開を見せるのか・・
人気の歌舞伎役者です。世間の耳目は集め続けるのでしょう。
私は思うのです。なぜもここまで騒ぐのか・・・悪所の出来事だからです。
自らの生き様と演目する芝居との境目がなくなり、現と虚が行き来しながら
親を殺し、自ら命を断つ。世間から見れば面白くも悲しい事件だからです。
この事件は所詮、歌舞伎の世界。芝居の延長と見てはどうでしょうか。
治外法権とはもうしませんが、苦海である「悪所」での見せ物・狂言です。
歌舞伎界も警察も、そして国民である観客も芝居に入り込まされた・・・
澤瀉屋・得意の超スーパー歌舞伎の実録・実演ではないでしょうか。
被害者がいません。加害者もいません。でも複雑な人間模様が描かれていそうです。そう考えますと・・10年とは申しませんが、数十年後には「澤瀉屋・猿之助尊属殺人心中事件」として歌舞伎の演目になるのではと思います。
歌舞伎役者は所詮・・・泡沫ですから。Goto
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