第51回・毎日農業記録賞

新聞協会加盟社、全てが報じて欲しい「賞」です。食料自給率を上げるべき。そんな議論はいつの頃から、なされているのでしょうか。少なくともカロリーベースの食料自給率は昭和40年が73%、令和4年で38%まで下がっています。生産額のベースでは86%だった昭和40年から58%まで落ちています。政府の食料自給率の目標は令和12年にはカロリーベースで45%。生産者ベースで75%まで回復させることを食糧・農業基本計画で決めています。絵に描いた餅の気がしないでもありませんが。目標を現実化するには高齢化が進み減少し続けている担い手・農業従事者を増やすことが肝要です。

今年で51回目となる「毎日農業記録賞の受賞作が発表されました。応募総数は1136編(一般部門191編・高校生部門945編)記録賞というのは、農業経験・体験を文章にして提出する・・・エッセーコンクールのようなもの。ニ次の審査を経て、各賞が決まる。

一般の部・最優秀賞は中央審査委員長賞・新規就農大賞とトリプル受賞。
受賞者は高知県の酪農家・江渕結衣さん(30歳)。22歳のおり、アーティストのライブ会場で意気投合した相手が酪農家。酪農命の彼に共鳴、ふるさとの岩手を離れ、高知の彼に嫁いだ・・・就農から7年、2人の娘を育てながら、酪農を。

2019年・設備投資してこれからという時に情勢が大きく変わり・・・飼料高騰・子牛市場の相場が下落。経営者として奮闘してきた夫の心がポッキリ・・夫婦で地獄を経験しながら、夫と続けている。この決断が正しいかどうか?とエッセイは締めくくる。読みながら胸が熱くなる。大賞に納得です。

高校生の部は愛知県立安城農業高校の2年生が優秀賞・中央審査委員長を受賞。「シマミミズによる我が家のシン農業革命」・・副題・シマミミズによる生ゴミの地産地循。なかなか面白い研究成果です。他に9人の高校生が優秀賞した。

応募数の80%以上が高校生・大半が農業高校。そうです。この毎日農業記録賞は半世紀以上に渡って、毎日新聞社が農業を目指す高校生を支援してきた賞です。食料自給率と重ねるつもりはありませんが、農業従事者が減り続けるなか、唯一とは申しませんが、この賞はその歯止めの一つであることは間違いありません。当然に日本全国の農業高校の教師たちも力が入っています。

それが応募数に比例しています。たまたまですが、新聞紙面で読み損なった受賞の原稿をとネットで検索したら、この記事は有料です。残り8356文字。全ての有料記事が読み放題・・登録から1ヶ月間は99円と出てくるではないですか。ご時世です。毎日新聞の経営を考えれば、デジタル有料会員を増やしたいのは理解できますが・・・・

食料自給率を上げることは、この国の社会課題の一つです。農業記録賞は半世紀以上、毎日新聞が手掛けてきた有意義な事業です。そのことに異論を挟む人はいません。でも、もし、この事業をオープンにして、全ての新聞が記事として取り上げたとしたら。毎日新聞が我欲を捨てたとしたら・・・農業高校に通い、記録賞に応募する生徒も増え、農業に従事したいという高校生の励みになると思いませんか。

偉そうなことを申し上げ恐縮ですが、その調整をするのが日本新聞協会だと思うのですが・・新聞の衰退する原因って、そんなところにあるような気がしてなりません。

まずは、受賞者の皆さんおめでとうございます。応募された皆さん、来年は毎日新聞が権利を解放して、日本中の新聞が記録賞を掲載するようになるかもしれません。そうなれば日本中の人たちが絶賛する農業記録賞になります。とりわけ農業高校の生徒さんには頑張って欲しいと思います。Goto

コメント