日銀マイナス金利解除

日本が世界の経済を牽引することはない。

金融の話はいつも難しい。経済学は文系分類ですが、実は理系だと金融を考える時にはいつも思います。単純なことですが。円安と円高。150円の円が100円になると円高。200円になると円安・・数字が増えるのに「下がる」とはなんだ。
数字に弱い奴、論理的でない奴は金融がわからないのがわかります。

さてさてついに日銀が・・・この春闘での大幅賃上げを見据え、機が熟したと11年間続けてきた大規模な金融緩和策の転換に踏み切った。デフレ脱却の象徴的な存在であったマイナス金利政策、果たして効果があったのかどうか。今後どうなるのか?ここは考えてみる必要がある。とても難しい問題だが。

16年1月に黒田前日銀総裁が導入したマイナス金利の仕組み。銀行が日銀に預けている「当座預金」の一部にマイナス0,1%の金利を課す。銀行が一定額以上を預けると日銀に金利を払う。銀行は金を預けて金利を取られるから、そりゃかなわん。いややってことで・・・預金を投資に回すようになる。その結果、景気が刺激され経済が回るという効果が出る。まぁ・・銀行に企業に金を貸す努力をもっとせよ・・・そう言ったのです。

日本のデフレは深刻でした。黒田総裁は13年就任。日銀としては異次元の金融緩和策を導入。(異次元って言葉はここから)まず国債を大量に買い入れ、市場に出回る金の量を大幅に増やした。目的はインフレ誘導。2%の物価上昇を狙った。上手く行きかけたのですが、景気は逆に失速した。

せっかくの異次元金融緩和策だったのに。14年4月・財務省の圧力に負けた政治が消費税増税を実施した結果、消費者物価が下落。政治の判断ミスです。安倍内閣の時ですね。仕方ないと日銀は国債の買い入れをさらに増やした。でもその反動で、市場での取引に支障が出てきた。

そこで打った手が、物価の値下がりを続けデイフレと通貨高を食い止めるために、欧州で取り入れていたマイナス金利政策。株価も下落、緩和も行き詰まっていた日銀がマイナス金利政策に飛びついて、局面打開を図った。それがマイナス金利政策だ。30年間近く続くデフレ。これをなんとかするために、打てる手はなんでもやらねばならなかった・・日銀。こう見てくると理解できる。でも実態は効果が上がらなかったのも事実だ。

欧州諸国はいち早くマイナス金利政策は解除する。理由はコロナ化を脱して経済が回復してきたこと、それとロシアのウクライナ侵略に端を発した世界的なインフレが起こった。欧米の金融政策は22年以降、利上げ局面に転じた。

先進国では日本・日銀だけがマイナス金利を据え置いたまま、そうです。タイミングを逸して取り残されてしまったのだ。そこで、黒田さんに変わった植田新総裁。欧米に倣わねなならないのだが、きっかけがない。で、春闘での大幅な賃上げが可能になれば、マイナス金利を緩和すると条件をつけた。

何事も大義名分がいるのだと思うのだが。考えてみると、日本経済は、日本の景気と言っても良いのだが、日本発で経済を牽引するってことはない時代なのだと思わざるを得ない。つまり日本の経済は今や、世界の動きについてゆくのが精一杯で、自ら仕掛けるような力はない。そのことを実証したのが、今回の遅ればせながらのマイナス金利解除ってことになる。

この緩和政策の転換で、今後どうなるのか。答えは簡単だ。中小企業が大企業に続いて賃上げを実施できるかどうかである。できなければ、中小企業の淘汰再編しかない。そこまで政治が踏み込めるか。再び消費税をあげようと虎視眈々と狙っている財務省を抑え込むことができるか。その2点に掛かっている。
いまの自民党政権では無理。さて、どうするか?Goto

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