神保町を舞台にした小説「森崎書店の日々」で外国人が・・・
もう何年前になりますか?岐阜県・各務原市を本の街にすると、
意気込んだ市長が。その象徴は、市の中心部にある緑化公園で毎月、古本市を開催。多くの市民で賑わったものです。私も何度か足を向けました。
継続されていたら「本の街」として一風変わった特徴的な街になっていたかも知れません。街に本が溢れ、市民が本に親しむ。そんな街を想像したのでしょう。別段、本屋さんが多いわけでもない市でした。面白い発想だと思ったのですが、所詮は行政主導でしたから、市長が交代した時点で廃れてしまいました。
本の街といえば東京・神保町ですね。18歳で上京、ニキビ面の田舎学生です。
東京が珍しく、銀座・新宿・渋谷・池袋と山手線(当時はそう言いました)に乗ってぐるぐると。暇だったのですね。
中でも神田で降りて、神保町の古本屋街を歩くのが好きでした。
なぜか。上京の際「親父殿から仕送りの1割は本代に当てろ」と言われたからです。新刊はなかなか買えませんが、書店の前に並ぶ古本なら買えたからです。
岩波文庫「賃労働と資本」30円で買った記憶が残っています。
神保町で関心したのは、特徴ある本屋です。和本とか浮世絵・古地図などを専門とする古本屋・本棚を眺めるだけで楽しくなったモノです。赤かぶれの学生でした。新左翼向け専門の本屋には薄汚い同じような学生がたむろして、熱い議論を本屋で闘わしていたり刺激的でした。
あれから、半世紀以上が経ちました。久々に神保町を歩いてみましたが・・
私の記憶では書店が軒を並べていたのですが。思ったほど書店はなく、当時の面影はありませんでした。東京にしては寂しい町だと。
そりゃ・・そうでしょうね。半世紀以上の時が流れたのですから。
でもそれは私が記憶に残っている。書店街の話ですが、実際の神保町は、出版社・本の卸・印刷・製本・編集プロダクションなど、本に関わる多くの職種が集積していたから「本の街」と言われたのです。
出版不況と言われ、本が売れなくなって久しいです。日本の自治体、1700で書店がない市町村が3割に・・その象徴が神保町の衰退かも知れません。
でです。町おこしです。「本の街」を再興させようと「世界の神保町をめざす、
『知のプラネタリウム』の発信」シンポジウムが開催されました。
なぜだか。そのシンポジウムにメッセージを寄せたのは上川外相。
メッセージは「政府は6月の閣議決定で「骨太の方針で書籍を含む文字・活字文化の振興や書店の活性化を図ることが盛り込まれた」神保町を『知のプラネタリウム』として、世界の拠点とするチャンスだ」と激励。「本は我々を様々な世界にいざなう人生の羅針盤の役割も果たす」と述べる。
私もその通りだと思う。神保町は江戸時代から本屋が並んだと言われます。
この神保町が勢いをなくすようなことでは、日本の文化が問われます。行政主導の町おこしではあかん。
神保町で脈々と「本」に関わっている人たち、出版社を中心に、自社の経営に汲々としていないで、神保町そのものを「本の街」として再興させることが必要でないか。・・最近、神保町を舞台にした小説「森崎書店の日々」を読んだ外国人が聖地巡礼で来訪するそうじゃないですか。負けるな。Goto
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