ソフト・パワー

日米同盟の守護神・ジョセフ・ナイ ハーバード大名誉教授・死去。

米ハーバード大名誉教授・政治学者のジョセフ・ナイ氏(88)が6日死去。
7日、同大学が明らかにした。9日、新聞各紙が朝刊で大々的に報じた。
ご存知ない方も多かろう。4月に死去したブッシュ(Jr.)政権の国務副長官。あの風貌と知日派で知られるリチャード・アーミテージ氏(夫人は日本人)ならわかるが。

ここまで新聞が報じるナイ氏っていったい何をやった人なのか。
日本にどんな影響を及ぼしたのか?新聞各紙から拾ってみたい。

クリントン政権時代・国防次官補だった。
ナイ・イニシアチブと呼ばれた冷戦後の日米安保の再定義を主導。
95年に、東アジアにおける米軍10万人体制の維持を強調した
東アジア戦略報告(ナイ・リポート)をまとめ、日米安保共同宣言や
日米防衛協力のための米方針をリードした。

アーミテージ氏と「アーミテージ・ナイ・リポート」と呼ばれる超党派の
提言を発表、米の対日政策に深く関わってきた。日経は日米同盟を救った知の巨人と形容している。彼が日米安保の必要性を再定義しなければ、1990年代前半、在アジア米軍の大幅な削減論が米国内で広がりかけていたのを防げず、日米や米韓同盟は大きく弱まっていた恐れがある。だからナイ氏は日米同盟を救った知の巨人だと。

もう一つは、ナイ氏の代名詞ともされたのが国際政治学者として「ソフトパワー」の概念を提唱したこと。軍事力や経済力などの「ハードパワー」だけでなく、価値観や文化などを通じて他の国や国民を惹きつけるソフトパワーの重要性を指摘。その後の国際政治学の礎として定着したことである。

もう、お分かりだと思う。
そうです。日本の新聞各紙がナイ氏の逝去を敢えて大々的に報じるのは、
世界観がなく政治は力だとばかりにハードパワーで世界を捩じ伏せようとするトランプ大統領のアメリカファースト主義への「暗なる怒り」をナイ氏の功績を借りて批判しているのだ。

ナイ氏とインタビューをした日経コメンテーター氏の弁を頼れば、
ナイ氏の印象的な点は、「聞く力」である。取材ではこちらの質問に耳を傾け、相手が聞きたいことを理解した上で穏やか口調で本質を突いた答えを返す。
彼の発言は、そのまま立派な文章になるほど論理が明晰だったと評伝する。

本当かどうかはわからないが。ナイ氏を讃える「聞く力」がある。「理路整然」として語るとなるとトランプを意識しての評伝だと思えてならぬ。納得だが、
では、日本の新聞メディアが、概ねナイ氏をこのように讃えるのが、
このソフトパワーは果たしてトランプ大統領に届くのか・・・
そう思うと妙に虚しいと感じるのは私だけか?Goto

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