どんな大統領を選ぶか。結局は国民ではないでしょうか
ウルグアイは南米・ブラジルとアルゼンチンの間に位置。
人口は約350万人。面積は約18万キロメートル。日本の半分ほど。
1973〜85年は軍事独裁政権。激しい民族解放運動が繰り広げられ、
民主主義国家に。サッカーの強豪国で、ワールドカップ2回優勝。
2010年〜15年間・大統領を1期務めたのがぺぺの愛称で親しまれた
ホセ・ムヒカさん(89)。逝去された。冥福を祈りたい。
ぺぺといえば、「世界一貧しい大統領」と評価されるが。
彼の人生はそんな生優しいモノではない。
60年代に社会主義思想に傾注。政治家誘拐などを繰り広げる極左ゲリラの一員。投獄4回・脱獄2回・銃撃戦では6発撃たれ、九死に一生を得たことも。
収監は13年に及び、10年は独房で過ごし、拷問を受け、硬い床の上で寝た。
時に薄いマットが支給されるとそれだけで満ち足りたと。最低限のモノがあれば
幸せに生きられるとの人生観は獄中生活で得たと。軍事政権が崩壊、釈放。
94年に下院議員に当選。農牧水産相を経て大統領に就任。
公邸には住まず。とたん屋根のボロ屋に暮らし、収入の9割を貧困層に寄付。
生活費は毎月10万円たらずだった。大統領としては、常に社会的弱者・貧困層の側にたち、人工妊娠中絶や同性婚、大麻の生産・販売の合法化などに踏み込んだ。
ぺぺを世界的にしたのは12年・ブラジルで開かれた国連持続可能な開発会議で「貧乏な人とは、無限の欲望があり、いくらモノがあっても満足しない人のことだ」と演説。世界中から喝采を浴びた。
彼の名言は他にも
◉本当のリーダーとは・・・何かを成し遂げる者ではない
自分を遥かに超える人材を育てることだ。
◉人間は発展するために生まれたのではない。
幸せになるために地球に生まれたのだ。
◉大統領官邸には住まない。官邸職員を雇うなら、
学校のために経費を使いたい。
◉私は貧しい多数派に選ばれた。だから多数派と同じ生活をする。
◉モノを買うということは、稼いだ金で買うのではない
労働した時間で買っているのだ。
◉人生で最も重要なことは勝つことではない。歩み続けること。
◉私は貧乏ではない。質素なだけだ。
これらの名言・あなたはどう読みますか。
裏金づくりに奔走する政治屋に爪の垢でも煎じて飲ませたい。
2020年・100平方メートルほどの古びた平屋に夫婦で何匹かの犬と
暮らす「ぺぺ」を訪ねた元駐ウルグアイ大使はいう。
クタクタのシャツ・作業パンツ姿で現れたぺぺは農場を案内。
「世界一貧しい大統領」と言われるが「一度も貧しいと思ったことはない」
「毎日おいしいモノをいただき、実の子どもはいなくても、国民が子どもの
ような存在。こんな豊か人生はない」という。
「世界一忙しいという日本」をどう思うかとの問いに
ぺぺは「日本の新幹線は確かに素晴らしい技術。でも1分・1秒を
惜しんで日本人は一体どこに行こうとしているのかねぇ」と語る。
大使氏はいう「世界で一番質素で心の豊かな大統領だった」と。
ぺぺは退任時の支持率が75%だったという。彼を彼たらしめたのは、
ウルグアイの国民であったことを肝に銘じたい。Goto
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