秋深し、天声人語で月仰ぐ

新聞を読むという「上質な暇つぶし」のおススメです。

もう何年になりますかねぇ。
名古屋証券取引所・セントレックスに上場したのが2007年2月。その前からですから、もう20年になります。

何をかと言えば、「朝日新聞天声人語」の書写を全社員が始めたことです。
(と申しても社員数は50人ほどでしたが)

我が社は広告会社。広告を扱う者は、世相に敏感でなければならない。今、何が起き、何が関心を集めているのか。知らずして「広告」を語ることはできない。なんて気取って・・・

603文字に研ぎ澄まされた天声人語は、社会の呼吸を映す鏡。
大学入試に最も出題されるのも、その完成度ゆえでしょう。
ならば、社員で書写してみよう――そう呼びかけたのが始まりでした。

もっとも、始める前は迷いました。朝日新聞は「社会的弱者のため」と言いながら、どこか偏りがある。ならば読売の「編集手帳」の方が人情味があるのでは?いや、経済を知るなら日経の「春秋」か。毎日の「余録」も捨てがたい……と悩みに悩んだ末、若い社員に広告は「社会の映し絵」“斜に構えた思考”を養ってほしいと、天声人語に決めたのです。

書写するだけではあかん、もうひと工夫してはどうか・・・
「見出しを付けてみよう」と提案しました。
603文字をどう切り取るか。何を言いたいのかを掴まねば、見出しは作れません。さらに「自分の意見も添えてみよう」と。知るだけではあかん。自分の主張もと・・・

それが若いアドマンの修行となり、いまや優秀な人材が次々に育っています。
継続は力なり。まさにその言葉どおりです。朝日の天声人語氏には感謝です。

ある日、元気な女性社員に問われました。「会長は自分も書写してるんですか?」私は笑って答えました。「してません。いや、毎朝1000字を目安にブログを書いてる。それが天声人語の書写がわり、勘弁してもらってる」と。

最近、「まなび場・天声人語」という特集が好きでよく読みます。
読者が投稿し、編集部が解説する。なかなか味がある。

先日のテーマは「暇つぶし」。
スマホのない日、ふとボーッとしていたら、
あくびが出た――そんな締めでした。

そういえば、落語に「あくび指南」という噺がありますね。
退屈こそ、創造の母。
スマホばかりいじっていたら、あくびも出やしない。
人間、本当の「間(ま)」を失ってはいけません。

秋の夜長、スマホを少し置いてみませんか。
月を仰ぎながら、新聞をめくる。
一面のコラムに、人生の滋味を感じる。それが、最高の「暇つぶし」――いや、「修養のひととき」かもしれません。10月も今日で終わりです。Goto

追伸
天声人語・郷富佐子さん初の女性執筆者です。
11月27日・高市早苗首相・汗かきなのは「更年期障害」が原因
なるほどと学ました。

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