日本は本当に資源のない国か?
この言葉を、私たちは疑いもなく受け入れてきたのではないか。
だが、本当にそうなのか。
2013年、東京大学の地球資源学の研究チームが、南鳥島沖の水深6000メートルの海底に、膨大なレアアース泥が眠っていることを発見した。わずか2500平方キロメートル、佐賀県よりやや広い海域に、推計1600万トン。国別埋蔵量で世界3位に匹敵する規模だという。
レアアース。電気自動車、スマートフォン、コンピュータ。現代文明を支える17元素の総称。「産業のビタミン」である。精錬の9割、採掘の7割を中国が握る現状は、経済安全保障の観点からも看過できない。
しかし、南鳥島沖の泥は、陸上鉱石と違い放射性物質をほとんど含まない。精製しやすい。まさに「夢の泥」だ。
日本の地球深部探査船、ちきゅうが、6000メートルの深海から泥を吸い上げる挑戦を始めた。世界初の難事業である。2018年から内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムの一環として、約400億円を投じ技術開発を進めてきた。
成功すれば、日本は一気に世界有数のレアアース生産国となる。
それだけではない。南鳥島沖にはマンガン団塊、コバルトリッチクラストといった希少金属資源も確認されている。2024年には、EEZ内に2億トン超のマンガン団塊が密集する鉱床の存在も報告された。海底資源の総額は500兆円規模との試算もある。
これでも日本は「資源のない国」か。
問題は資源の有無ではない。資源を「ある」と信じ、国家として取りに行く覚悟があるかどうかだ。
圧倒的議席を持つ政権がやるべきは何か。まずは潤沢な予算を付けることだ。海洋工学、資源地質学、深海ロボティクス。未来を切り拓く若者たちが「海」に夢を見られる環境を整えることだ。
大海原に憧れ、6000メートルの闇に挑む海の男たち、女たちが現れる。それは単なる資源開発ではない。日本の精神の再起動である。
四方を海に囲まれた海洋国家。その海を、観光や漁業だけで語る時代は終わる。海洋資源開発は、この国の新たな基幹産業になり得る。エネルギー安全保障、産業競争力、地方創生、雇用創出。すべてに波及する成長分野だ。「日本は資源がない」と嘆くより、「日本は海という宝庫を持つ」と胸を張ろう。
意識が変われば、政策が変わる。
政策が変われば、国の形が変わる。
深海6000メートルの泥は、単なる鉱物ではない。
それは日本の未来そのものだ。
眠れる海を、目覚めさせよ。
その先に、希望の日本がある。Goto


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